Cisco Systemsがすぐれたアイデアを持つ大学生に資金を提供し、ブロードバンドにおけるキラーコンテンツを生み出そうと取り組んでいる。
Ciscoは米国時間4月19日、MTV系列の大学生向け24時間放送ネットワークであるmtvUと協力して進めている「Digital Incubator」プログラムに関する発表を行った。Digital Incubatorは1年に1度開催されるコンテストで、魅力的なブロードバンドユーザー向けコンテンツを考案した10の学生グループを選抜し、各プロジェクトに2万5000ドルの資金を提供するもの。
今年は、簡単なプログラム、ゲーム、ソーシャルネットワーク、ブログ、インスタントメッセージング、ポッドキャスト、携帯電話向け双方向コンテンツなどに関わるプログラムが受賞対象となっている。
Digital Incubatorプロジェクトの第1弾は、mtvUが今後6カ月間にわたって提供するテレビ放送、オンラインコンテンツ、学内利用コンテンツ、携帯デバイス向けコンテンツの一環として、5月に初公開される予定だ。
Ciscoの企業開発担当シニアバイスプレジデントDan Scheinman氏は、「非常に残念なことに、次のGoogleと言えるようなオンラインコンテンツは現れなかった」と話し、「メディアビジネスは混迷の時代に突入している。今では、消費者がコンテンツを独自に制作し、人々と分かち合えるようになりつつある。(Ciscoにとって)トレンドがどこへ向かっているのかを把握することは、それに適した機能を実現する製品を開発するという点で重要だ」と話した。
Ciscoはこれまでの20年間、企業やサービスプロバイダーにネットワーク機器を販売してきたが、現在は家庭用機器市場への参入を積極的に試みている。2006年初頭には、業界第2位のセットトップボックスメーカーであるScientifc-Atlantaを700万ドルで買収した。CiscoはScientifc-Atlantaのセットトップボックスを、インターネットから消費者のテレビへデジタルコンテンツを直接配信するためのプラットフォームとして活用していく予定だ。
同社は、IP技術が家庭用エンターテインメントの有り様を変えるという考えに基づいて、戦略を立てている。米国の全世帯の半数以上がブロードバンドサービスを利用している現在、消費者は、インターネットを介してウェブを閲覧したり、電子メールを使用したりする以上のことを望むようになり始めている。
すでに大手電話会社のAT&TやVerizonなどが新たなネットワークを構築して、有料テレビ市場への参入を図っている。また、Disney/ABC、CBS、NBCといったコンテンツ所有企業は、自社が制作したテレビ番組をオンラインで視聴できるようにする取り組みを開始している。
一方、多くの消費者がデジタルカメラ付き携帯電話などの先進的なモバイル機器を購入して、日常生活で遭遇する出来事を録画するようになった。彼らは、そうした画像や音楽、身近な物事を、高速なインターネット接続を利用して他の人々と共有しているのである。
ソーシャルネットワーキングサイトや自作コンテンツサイトの人気に火が付いたことで、MySpace.comやFlickrといったサイトも大いに勢力を伸ばした。しかし、新たなアプリケーションやサービスのうち、どれが今後もユーザーに指示され続けるのかを正確につかむのは、容易なことではない。
Scheinman氏は、次世代の主役を張るのは、シリコンバレーやハリウッド、ニューヨークを拠点とする複合企業ではないと考えている。新たなテクノロジーの潮流は、大学の学生が生み出すというのである。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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