NASAシステム侵入事件被告、米国への身柄引き渡し判断は5月に

文:Tom Espiner(ZDNet UK) 翻訳校正:河部恭紀(編集部)2006年04月13日 16時30分

 米軍コンピュータへのハッキングで起訴されている英国人の元システム管理者は、有罪判決を受けた場合、米国への身柄引き渡しが要求されている。その要求に応じるかが5月に判断されることになった。

 Gary McKinnon被告は英国時間4月12日、長期に渡った法的審理の最終段階としてロンドンの法廷に出廷した。同被告の弁護人は、米国の厳しい反テロリズム法が適用された場合、グァンタナモ米軍基地に最高60年間収容される可能性があるため、被告人は米国に引き渡されるべきではないと主張している。

 検察官は4月12日、米大使館からの無署名の文書を提出した。その文書は、テロ容疑者を軍法の下で裁くことを認めた「Military Order No. 1」の下で、McKinnon被告は裁かれないことを保証したものだ。

 しかし、弁護側は、署名がないことから、同文書には拘束力がないと主張した。さらに、弁護側は証人として、グァンタナモ収容者を弁護してきた米国の弁護士Clive Stafford-Smith氏を召喚した。Stafford-Smith氏は、その文書ではMcKinnon被告がテロリストとして扱われる可能性があると述べた。

 「(Bush米大統領は)議会の束縛を受けない立法権を持っているという強い見解の持ち主だ」(Stafford-Smith氏)

 McKinnon被告も、署名のない文書が自分を守るとは思っていない。「それはただの紙切れに過ぎない」と同被告は法廷で語った。

 この裁判は、5月10日まで延期され、その時点でMcKinnon被告の身柄が引き渡されるか否かの最終判断が下される予定となった。

 McKinnon被告は、NASAおよび米軍が運用する米政府機関のコンピュータ97台に不正アクセスし、2001年2月から12カ月間に渡って70万ドル相当の損害を与えた容疑に問われている。

 北ロンドン出身の同被告は、一部の米軍コンピュータにアクセスしたことを認めたが、深刻な損害を与えたことに関しては否認した。熱狂的なUFOマニアらは、彼が地球外生物の証拠を探して、政府機関システムに侵入したと述べている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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