無線通信用チップメーカーのQualcommは、3G無線通信の次世代技術に対応するチップの製品化を進めている。この新技術により、米国でSprint NextelとVerizon Wirelessのネットワークを利用するブロードバンド契約者の場合、アップロード/ダウンロード速度が3倍に高速化するはずだ。
Qualcommは米国時間4月7日、CDMA2000 1x EV-DO方式を機能拡張した次世代技術「EV-DO Revision B(EV-DO Rev.B)」に対応したデータモデムを2007年後半に商品化すると発表した。現在、北米の2大モバイル事業者であるSprint NextelとVerizon Communicationsは、EV-DOを基盤として3G無線ネットワークを構築している。
モバイル事業者2社がすでに導入している「EV-DO Rev.0」では、平均データ転送速度はダウンロードが400〜700kbps、アップロードが50〜70kbpsとなっている。両社は現在、後継となる「EV-DO Rev.A」の導入の初期段階にある。EV-DO Rev.Aにより、平均ダウンロード速度で約30%向上し、平均アップロード速度では2倍近くになる。Sprint Nextelによれば、同社のEV-DO Rev.Aネットワークの平均速度は、ダウンロードが450〜800kbps、アップロードが70〜144kbpsだという。
そして今回、Qualcommは、EV-DO Rev.BをサポートするPCカードおよびデータモデム用のチップセットを商品化する計画を明らかにした。同社のCDMA製品管理担当バイスプレジデント、Cristiano Amon氏は、新技術によりダウンロードとアップロードの速度が3倍になるはずだと述べた。つまり、ユーザーが期待できる平均データ転送速度は、ダウンロードで1.3〜2.4Mbps、アップロードで210〜432kbpsとなる。この高速化により、無線ブロードバンドは有線のDSLサービスとほぼ同等の通信速度を実現し、肩を並べることになる。
EV-DO Rev.Bを採用する最初の製品は2007年後半に登場し、2008年にはさらに複数の製品が発売される見込みだ。SprintとVerizonはすでにEV-DO技術のRev.0、Rev.Aを採用しているので、より高速なRev.Bが登場しても、既存のネットワーク機器の対応はソフトウェアのアップグレードだけで済むとみられる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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