IBMの研究者らが、データをより安全に保管する方法として、ハードウェアベースの暗号化技術をマイクロプロセッサに組み込む技術を考案した。
IBMは米国時間4月10日、「Secure Blue」と称する新技術が利用可能となったことを発表する予定である。同社はこのアイデアと技術をデジタルメディアプレーヤー、電子手帳、携帯電話、コンピュータ、そして政府、医療分野、金融業界が使用するデバイスに利用することを想定している。
IBMによると、Secure Blueでは、プロセッサを通してデータが暗号化および複合化されるという。データは、デバイスメモリまたはRAMの内部では暗号化されたままである。スクランブルの解除は、データの表示時などでまれに発生するだけである。
「データの漏えいについては多くが懸念している」とIBMのセキュリティプライバシーマネージャーを務めるCharles Palmer氏は取材のなかで述べている。「情報が常に暗号化されている構造があれば、データ保護には非常に効果的である」(Palmer氏)
IBMによると、Secure Blueではマイクロプロセッサに2〜3の回路が付加される必要があり、これはチップ全体の数%を占めるという。暗号化と複合化は迅速に行われ、プロセッサのオーバーヘッドはないと、同社は述べている。
ハードウェアベースのセキュリティ技術は複数の目的に使用できるが、必ずしもデバイス所有者だけのためではない。例えば、コンピュータまたはデバイスが紛失、盗難、あるいはハッキングされた場合に、利用者のデータを保護できる。その一方で、コンテンツ所有者もまた、同技術を著作権処理に利用できる。これはデジタル著作権管理(DRM)と呼ばれ、利用者の自由を束縛すると一部では批判されている。
Palmer氏は、「これは数々の問題を解決することを可能とする技術である。DRMに、システム管理、そして私のBlackBerryの情報保護にも利用できる」と述べる。IBMは10日に技術の利用可能性を発表するだけであり、その用途については今後明らかになるだろうと、同氏は付け加えた。
ハードウェアベースのセキュリティという発想は初めてのことではない。多数のノートPCがすでに「Trusted Platform Module(TPM)」と称するチップを搭載している。これは、暗号化キー、パスワード、デジタル認証の保管を保護するものである。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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