米新興企業、バーチャルワールド「Second Life」で大企業を支援

文:Daniel Terdiman(CNET News.com)
翻訳校正:尾本香里(編集部)
2006年04月04日 14時16分

 Phillip K. Dick氏は、Electric Sheepの社名を聞いて誇りに思うことだろう。

 短編「Do Androids Dream of Electric Sheep?(邦題:アンドロイドは電気羊の夢を見るか?)」が「Blade Runner(ブレードランナー)」として映画化されたことで有名なSF作家のDick氏は、人工生命やデジタル世界の作品を書いた。そして今、社員13人の新興企業Electric Sheep(本社:ワシントンDC)が、完全にバーチャルな世界に空間を作り出すビジネスに挑戦している。

 創業1年の同社は、バーチャルワールド「Second Life」の中で存在感を示したいと考える大企業顧客を支援している。Second Lifeでは、人々が、あらゆる行動をとり、あらゆるものを作ることができるほか、さまざまな人間と交流できる。

 Electric Sheepは、完全に現代的な作り事と言ったところだろうか。Fortune 500に名を連ねる大企業が、蝶々や人間の格好をした生き物に簡単に出会えるような、成人向けの3D仮想プロジェクトに参加する様子を想像するのは難しい。だが、これがまさしく現実に起ころうとしている。

 たとえば、Wells Fargo Bankは2005年、若者が遊びながら金融知識を学習できるように設計された島々を「Second Life」の中に作ろうと考えた。同行は、「Second Life」を運営するLinden Labではなく、同バーチャルワールドのユーザーに作業を依頼した。しかし、それはElectric Sheepではなかった。

 実際、Linden Labの最高経営責任者(CEO)Philip Rosedale氏によると、同社では建設プロジェクトなどは「Second Life」コミュニティにすべて任せ、こうした作業を可能にするインフラやツールの開発に専念していくという。

 ここに注目したのがElectric Sheepだ。登記上はワシントンDCに本社を置くものの、業務の大半をバーチャルワールドで行う同社は、ここを顧客に使ってもらいたいと考えるFortune 500企業から大口注文を集めている。ただし、同社CEOのSibley Verbeck氏は法人顧客の名前を一切明かしていない。

 もちろん、顧客は法人だけではない。Electric Sheepの社員は、クライアントの依頼を受けて島のカスタマイズを行うこともある。この島は6万5000平方メートルの広さの土地で、「Second Life」では「シム」と呼ばれ、ユーザーはそこで何でも好きなことができる。

 Verbeck氏によると、Electric Sheepでは土地のテラフォーミング、建物の建築、スペース全域におけるオブジェクトへの対話スクリプト付加といったシムの完全なカスタマイズを、約1万5000ドルで請け負っているという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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