米Wells Fargo Bankが販促活動の一環として、若者が容易に金融知識を学習できるように設計されたオンラインマルチプレイヤーゲームの試験版を運営開始した。銀行によるオンラインゲームを使った革新的な販促活動は、恐らく前例がないだろう。しかし、このプロジェクトが注目に値するのは、プロジェクト自体が(現実世界と)完全に分離された仮想世界の中で構築されている点だ。
「Stagecoach Island」と呼ばれるこの試験的プロジェクトは、デジタル環境の中で、訪問者がスカイダイビングを行ったり、ホーバークラフトを飛ばしたり、ダンスや買い物をしたりできるというものだ。しかし、そのゲームの中で得る体験には、資産運用に関する知識の習得に役立つ、金融に関する様々なメッセージが織り込まれている。Wells Fargoはこれまでに、カリフォルニア州サンディエゴとテキサス州オースチンの顧客をゲームに招待してきた。
Stagecoach Islandプロジェクトは、Linden Labが開発した仮想世界「Second Life」内にWells Fargoが所有するいくつかの島々で行われている。しかし、「Second Life」は一般に公開されているが、Wells Fargoの島々へは同銀行から招待を受けた人しかアクセスできない。つまり、Second Lifeの正会員であっても必ずしもStagecoach Islandにアクセスできるわけではない。
Wells Fargoのエクスペリエンス・マーケティング担当バイスプレジデントTim Collinsは、「われわれとしては、金融教育を通じて若い成人たちの役に立つだけで幸せだ」と語った。
Collinsの説明によると、Stagecoach Islandのプレイヤーらは、架空の資金30ドルを与えられ、それで服を購入したり、運賃を支払ったりするという。しかし、このゲームの目的は、プレイヤーに貯金の仕方を教えることにある。「貯金」には1日当たり10%が上乗せされる。また、クイズを通じて資産運用についての新たな知識を学べるようになっており、クイズに回答し終えると報酬として5ドルの資金が与えられる。
Second Lifeでは、会員(無料で基本アクセス権を取得している人々)が仮想世界に入り、そこで飛行したり、他人とチャットしたり、架空の自動車を運転したりするなど、様々なことを行う。設計や3Dモデリングの技能を有する人であれば、このなかでほぼ全ての物を構築/設計できる。実際、Second Life内のほぼ全てのコンテンツがユーザーによって開発された。
Linden Labは、そのデジタル世界の「土地」を販売し、さらにその後、土地の所有者から月間使用料を徴収することによって収益を上げている。同社のCEO、Philip Rosedaleが最近語ったところによると、土地の価格は1エーカー(約1200坪)当たりおよそ129ドルで、土地の所有者から管理費として月に平均25ドルを徴収しているという。
Second Lifeのような仮想世界の事情に詳しい専門家らによると、Wells FargoとLinden Labのように、銀行と仮想世界の運営会社が提携した例は過去に記憶がないという。それゆえ、両社の提携は大変画期的なマーケティング手法であるように思える。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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