ナショナルクライアントもモバイルに注目
モバイル広告市場では、広告主(広告出稿者)の構成も少しずつ変わってきている。これまで最も大きな広告主は、モバイルコンテンツプロバイダと消費者金融事業者だった。特にモバイルコンテンツプロバイダは自社のサービスにそのまま誘導しやすいことから、大きな比重を占めていた。
しかし近年では、飲料、自動車業界などのナショナルクライアントと呼ばれる大手企業の出稿も増えている。「モバイルがコミュニケーションツールとして必要不可欠なメディアに定着したことが広く認識されるようになったため」(電通)といい、特にメールを使ったキャンペーン告知や、駅広告からモバイルサイトに誘導するケースが多いようだ。
ただし、ナショナルクライアントの場合は一時的なキャンペーンで利用するケースがほとんどだ。これは、ナショナルクライアントが定常的にモバイルサイトを開設していないことが大きな要因と考えられる。
最近のモバイル広告市場の動向として、もう1つ挙げられるのが、新しい広告手法の登場だ。PC向けのインターネット広告と同じように、検索連動型広告やアフィリエイトといったインターネットならではの広告が登場している。検索連動型広告を提供している企業としては、サーチテリアやJリスティングなどがあり、アフィリエイト事業者としてはディー・エヌ・エー(DeNA)やアドウェイズなどがある。
また、最近ではUSENの「モバイルGyaO」をはじめとして、モバイル向けの動画配信サービスが数多く登場している。動画はテキストや静止バナーに比べて表現力が高まることから、ブランディングを図りたいナショナルクライアントの利用が見込まれており、モバイル広告市場の拡大につながるとの期待もある。
市場拡大への課題は?
今後の大きな成長が見込まれるモバイル広告市場だが、課題も多い。最も大きな課題は、モバイルユーザーの利用拡大だ。現状では、携帯電話でサイトを積極的に見て回ったり、サービスを利用したりするユーザーは若年層が多い。このため、広告主の層が広がりにくいという問題がある。
特に携帯電話は契約数が9000万件を超えており、これ以上の加入者の伸びは見込めない。このため、30代以上のユーザーを中心に、1人1人の利用量をいかに増やしていくかが鍵となる。
この点について、モバイル広告を取り扱う企業はどう考えているのか。次回以降は、モバイル広告事業者の今後の戦略について見ていくことにする。
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