ダラス発--Microsoftの「Convergence」カンファレンスはここ数年、同社が最新のビジネスソフトウェア戦略の転換を発表する舞台となってきた。しかし、今年のConvergenceでは驚くべきことが1つあった。それは大きな転換が1つも発表されなかったことだ。
「ある意味、今年のカンファレンスには何のニュースもなかった。約束したものはすべて出してしまった」と、MicrosoftのJames Utzschneider氏(Dynamics部門マーケティング担当ゼネラルマネージャ)は語った。
最近の同社にとっては、ニュースがないことは朗報だ。WindowsとOfficeの両部門が次期製品の開発の遅れを取り戻そうとするなかで、Microsoft Business Solutions(MBS)グループでは、昨年の計画と酷似したソフトウェア関連の計画を売り込んでいる。この計画では、来年に4つのERP(Enterprise Resource Planning)製品をすべてアップデートすることになっている。
MBSはこれまで赤字をつづけてきたが、ここにきて業績が上向いている。MBSは、前の四半期に売上が17%増加し、初めて黒字となった。同社では、新たに5000万ドルを投じる宣伝キャンペーンなどの要因から、MBSの赤字はまだしばらく続くが、ただし売上の成長は続くものと見ている。
さらに、Microsoftがビジネスソフトウェアサービス戦略の策定を進めるにあたり、MBSはその主役を務めようとしている。
これは、MicrosoftがGreat Plains Software買収にともない中規模ビジネスアプリケーションに力を入れ始めた5年前を考えると、思い切った転換といえる。同社は現在、いずれも買収によって獲得した4つのERP製品のほか、自社開発のCRM(Customer Relationship Management)製品まで保有している。
Convergenceカンファレンスは何年にもわたって、Microsoftの販売代理店や顧客にとって不安の象徴だった。
Utzschneider氏は、Microsoftの長期計画を顧客が信頼できず、製品ラインアップの打ち切りがあるのではないかという懸念を抱くなど、「多くの混乱があった」と述べた。
同社は製品の統一に向けて動いているが、4つのERP製品を統合するという当初の「Project Green」計画を大幅に縮小し、より発展的なアプローチを採ることにした。今年発生する作業の大半は、4製品に共通のルック&フィールを持たせ、MicrosoftのほかのソフトウェアプログラムやVisual Studio開発ツールとのリンクも徹底させることに重点が置かれることになる。
Forrester ResearchアナリストのRay Wang氏によると、MBSはDynamics ERPソフトウェアの4つのバージョンすべてをいまだにサポートしているものの、1つのチームとして機能し始めているという。Microsoftは、同社の開発リソースの多くを集中させて、OfficeやSQL Serverなどの製品との連携の追加や各種のウェブサービスのサポート統合に注力できると、同氏は説明する。
「これは確かに脅威となる」(Wang氏)。Microsoftは今後も、各製品のどの部分を維持するかという点や、共通のデータモデルがどんなものになるかという点について、選択を迫られることになるが、ただし現在のところ、パートナーや顧客は同社の計画に満足していると、Wang氏は語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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