Intel Labsとカリフォルニア大学バークレー校(UCB)との共同研究から生まれた新興企業Arch Rockは米国時間3月27日、Intelを始めとする数社からの資金調達を発表し、ワイヤレスセンサーネットワークを構築するソフトウェアの販売計画を明らかにした。
Arch Rockに対して500万ドルの初期資金を投資したのは、Intelのベンチャー投資部門とNew Venture Associates、およびShasta Venturesだ。
同社の創業者David Culler氏とWei Hong氏は、共にオープンソースOS「TinyOS」や組み込み型データベース「TinyDB」の開発に取り組んできた。両製品ともUCBが先導するオープンソースコミュニティが開発を進めている。
Arch Rockは、インターネットに接続できるワイヤレスセンサーネットワークを構築、管理するソフトウェアの販売を計画している複数の企業の1つだ。
同社の最高経営責任者(CEO)であるRoland Acra氏によれば、Arch Rockは創業してまだ1年だが、当初からの顧客と協力してシステム開発にあたっており、TinyOS上で稼動するセンサー用ソフトウェアや、データを収集して企業内ネットワークに供給するネットワーキングソフトウェアを提供していくという。さらに、センサー用のプログラムを自作するためのツールも販売する予定だ。
Cisco Systemsで勤務した経験を持ち、Procket NetworksのCEOを務めたこともあるAcra氏は「われわれはインターネットのインフラストラクチャという観点から(ワイヤレスセンサーに)アプローチしようとしている」と語り、次のように述べた。
「インターネットは実に大きな成長を遂げた。今やわれわれはハードウェアやネットワーク、アプリケーションというインフラストラクチャを手にしており、(インターネット)構造をワイヤレスセンサーの世界に導入することが可能だ」
Acra氏によると、組み込みプロセッサが今よりも強力になり、消費電力の問題が改善できれば、企業顧客にとってワイヤレスセンサーネットワークへの投資がもっと現実的なものになるという。
たとえば、橋にセンサーを取り付けて構造上の損傷を示す振動を監視したり、ブドウ園にセンサーを設置して気温や湿度を監視し、よりよい収穫計画を立てたりすることも可能だ。
多数の無線発信機付きの組み込み超小型プロセッサ、つまり「モート」(「塵」の意)は、内蔵電池の電力で数カ月の間、やがては数年にわたって、データを処理することが可能だとAcra氏は語った。インターネットへの接続には、アクセスポイントを介さずにアドホックネットワークを構築できる「メッシュネットワーク」を利用するという。
Acra氏によると、Arch RockはIBMやBEA Systems、SAPのようなバックエンドソフトウェアの販売企業を補完することを目指していきたいという。
Arch Rockのソフトウェアはモート上だけでなく、ワイヤレスセンサーからインターネットを介して企業内ネットワークに情報を伝送する「ゲートウェイ」上でも作動する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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