Hewlett-Packard(HP)は、退職者も含めた同社従業員20万人近くが、ID詐欺の危険にさらされている。これら社員の個人情報を含むノートPCが先週盗まれたためだ。
HPの関係者が米国時間3月22日に明らかにしたところによると、盗まれたコンピュータは、同社へのサービスを提供している投資信託会社Fidelity Investmentsが所有していたという。このノートPCは、Fidelityの従業員数人により社外で使用されていたと、Fidelityの広報担当者Anne Crowley氏は述べている。
このノートPCには、退職者も含めたHPの従業員19万6000人分の情報が含まれていたと、Crowley氏は述べている。このデータには、名前、住所、社会保険番号、生年月日などの社員情報が含まれているが、Fidelityのサービスにログオンするための個人識別番号は含まれていないと同氏は言う。
今回のHPの事件を含めて、データセキュリティの侵害が多発している。Privacy Rights Clearinghouseの集めた情報によると、過去13カ月間に発生した複数の事件により5300万件以上の個人情報が流出している。McAfeeは2月、退職者も含めた同社従業員数千人分の情報を含むCDを、外部監査人が紛失したことを明らかにしている。
今回の盗難事件は、Fidelityから通報を受けた警察が現在捜査中であると、Crowley氏は述べた。「警察によると、ノートPCの盗難事件が複数発生しているという。多くの場合において犯人は、データや個人情報よりノートPC本体を目的としているというのが、警察の見解だ」(Crowley氏)
Crowley氏によると、盗まれた情報が悪用されたという報告はないという。さらに、盗まれた情報にアクセスするには特別なアプリケーションを必要とし、そのアプリケーションはノートPCが盗まれた約1日後には無効にされたという。「データの解読は困難であり、一般的には読んだり利用したりするのは難しい」とCrowley氏は述べている。
個人情報の盗難は消費者を悩ませ続けており、2005年、米連邦取引委員会(FTC)に報告された詐欺事件に関連した苦情のなかでは最多の件数を数えた。消費者は2005年、FTCに対し25万5000件以上の個人情報の盗難を報告しており、全ての苦情件数の3分の1以上を占めていると、FTCは1月に述べている。
HPとFidelityは、影響を受けた従業員に対する通知を今週開始したと述べた。Fidelityは、HPのアカウントのセキュリティを強化し、影響を受けた個人に対しては無料でクレジットモニタリングサービスを1年間提供する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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