Sun Microsystemsは米国時間21日、「Sun Grid」を立ち上げた。同社はこれに合わせ、数社のパートナーを発表したほか、Oracleから重要な支持を獲得したことも明らかにした。
予想通り、米国居住者はPayPalの支払サービスを使って、Sun Gridサーバを1プロセッサあたり1時間1ドルで使えるようになる。Sunでは、「Network.com」で提供するこのオンディマンドサービスが、どれだけ多くの計算処理にも対応できるサービスとなり、ゆくゆくは顧客ごとにカスタマイズされたデータセンターにとって代わるものになると期待しているが、ただしこの考えには異議を唱える者もいる。
現在Sun Gridでは2つの企業がサービスを提供している。その1つは、CDO2という会社によるリスク分析など財務関連のシミュレーションサービスで、もう1つはVirtual Computeの石油業界向け計算処理サービスだ。さらに、企業の財務インセンティブ管理用プログラムを販売するCallidus Softwareも、Sun Gridを使った「サービスとしてのソフトウェア」を提供することになっている。
Sunは、同社の直接の顧客としてApplied BioSystemsと契約したことを明らかにした。同社ではSun Gridを使って染色体の分析を行う。
Oracleは、Sunのこの試みに対して重要な支持を与えた。「OracleはSunと緊密に連携しながら、OracleのソフトウェアやOn DemandサービスがSun Gridに最適化されるように力を貸していく」と、Oracle On Demand担当のエグゼクティブバイスプレジデント、Juergen Rottler氏は声明のなかで述べている。
同社社長のJonathan Shwartz氏は米国時間20日付けのブログの中で、Sun Gridについて、Advanced Micro Devicesの「Opteron」またはSunの「UltraSparc」のいずれかのプロセッサを搭載したサーバを利用できるようになると述べていた。
Sunは将来を見越したいくつかのアイディアを考案することで、ドットコムバブルがはじけ、自社のハードウェアとソフトウェアが大幅に威信を損ねた後に先細りした地位と売上の回復を望んでいるが、Sun Gridはそうしたアイディアのひとつである。Sunは詰まるところ、ほとんどのコンピューティングが、カスタマイズされたデータセンターよりも一般的なグリッドの組立のなかで行われていると考えている。しかしSun Gridを実現させるのは簡単ではなかった。
このグリッドは当初、薬品の研究や株式市場の分析といった高度なコンピューティングタスクに利用される予定であるが、同社は最終的にこれが主流の用途に利用されると見込んでいる。
Sunは、これまで複数の機会にSun Gridを発表していた。このなかには2005年2月のShwarts氏の宣言も含まれる。同氏はそのブログのなかで「やった!グリッドが動き始めた」と述べていた。しかしこれを広く利用可能とするためには困難な時期を経なければならなかった。
セキュリティ、技術、そして規制上の問題が同社を押しとどめた。2月にSunの最高技術責任者(CTO)を務めるGreg Papadopolous氏は、同社がSun Gridの「第3の構造上の改訂版」に取り組んでいると述べていた。さらにShwartz氏はブログのなかで、グリッドを阻む内部的な問題が「いくつかの脆弱性」を露呈したと、述べていた。
IBMとHewlett-Packardはすでに、顧客に計算処理能力のレンタルサービスを提供している。Sunは申し込みと支払いを容易にすることで他社との差別化をはかろうとしている。とはいえ、これもただちに顧客を満足させるものではない。依然としてアカウントを設置するために数時間を要し、リクエスト後にコンピューティングパワーを取得するまでには数時間を要すると、Shwartz氏は述べていた。
Sun Gridは輸出規制法により、米国外に所在する者は利用できない。しかし同社はいずれ、世界的に同サービスを提供することを計画している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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