Sun Microsystemsは21日(米国時間)、未来へ向けて最初の数歩を踏み出した。同社によると、この先にはコンピュータの処理能力が電気のようなコモディティとして売買される世界が待っているという。
ニューヨークで開催されたSunのメディア向けイベントで、最高業務責任者(COO)のJonathan Schwartzはあるサービスを発表した。このサービスを利用する顧客は、Sunのマシンをつかって計算処理を行い、しかもコストは1プロセッサにつき1時間1ドルしかかからないという。
いまのところ、この技術は応用範囲が限られているが、Sunではいずれこの技術が開花し、証券取引所のような余剰処理能力をもつ組織が、余ったリソースをコンピュータグリッドに売り戻せるようになると期待している。
「仮に証券取引所(のコンピュータ)が夜間活動を休止しているとすれば、その余った処理能力をネットワークに供給できる」とSchwartzは述べ、ただしこのようなビジョンを実現させるためには、コンピュータを不正な改ざん行為から守るためのセキュリティ技術が必要になると注意を促した。
しかし、このような課題はいずれ解決され、Sunはコンピュータを動かして他者に利用してもらうことから利益を得られるようになると期待している。
「このサービスの市場はどれほど大きいか?地球上にいる全コンピュータユーザーの利用時間を合計すればよい。長い目で見れば、全ての計算処理がこのようなやり方で行われるようになる」(Schwartz)
ユーティリティコンピューティングのビジョンを掲げているのはSunだけではない。実際、IBMは長年グリッドプロトコルの開発に取り組んできており、Hewlett-Packard(HP)でも自社の全製品にグリッド対応機能を組み込んでいる。そして両社ともにすでに顧客向けの高度なデータセンターを運営している。
しかし、過去3年に渡って市場シェアと売上の減少に苦しんできたSunの場合には、この計画を知った顧客が同社に再度関心を示すようになりさえすれば、それである程度の成果をあげたと主張できるという者もいる。
「重要なのは、顧客や競合他社に『Sunは何を提供できるのか?』と思わせることだ」とIDCのアナリストVernon Turnerは言う。「現時点では、Sunにとってこれはスタート台に過ぎない。同社が狙っているのは、話し合いのなかで自社の話題が出るようにすることだ」(Turner)
Sunでは当面このサービスを、たとえばアニメーション映画のレンダリングや投資ポートフォリオの分析、地震実験データからの油田地図の抽出など、いくつかの高性能コンピューティング用途に提供していく。これらのタスクはどれも、いくつかのコンピュータを組み合わせて処理できるものだ。IBMとHewlett-Packardはすでにこうしたサービスを提供しているが、ただし価格設定はSunとは異なる。
Schwartzの考えでは、後に一般的なビジネスコンピューティングタスクも、こうしたやり方で行えるようになるという。ただし、光の速度や他のネットワークに関するタイムラグから、高速な反応が求められる多くの取引処理タスクはうまくいかないかもしれない。「本物のサービスグリッドを構築するために必要な技術面での障害については、時間をかけて検討していく」(Schwartz)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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