「最強のスパイウェアキラー」の期待がかかるWindows Vista - (page 2)

文:Joris Evers(CNET News.com)
翻訳校正:坂和敏(編集部)
2006年03月20日 12時01分

 Yankee GroupアナリストのAndrew Jaquith氏は、「Windows用スパイウェア対策のアフターマーケットはほぼ完全に枯渇するだろう。Vista搭載マシンを保有する大半のユーザーにとっては、Windows Defenderがデフォルトのスパイウェア対策エンジンになる」と言う。

 GartnerのPescatore氏も同意見で、「Windows DefenderをWindows Vistaに統合することは、スタンドアロンのスパイウェア対策製品に引導を渡すようなものだ」と語っている。

 しかし、スパイウェア対策市場が一夜にして消えることはない。Vistaの出荷は2006年末であり、またユーザーが即座に新しいPCを購入したり、Vistaへのアップグレードを行う可能性は低い。「Vistaがスパイウェア対策に大きな影響を与えるようになるまでには、2〜3年かかるだろう」(Pescatore氏)

 Microsoftは、スパイウェア対策市場以外でもセキュリティ関連の取り組みを進めている。同社は、「Windows Live OneCare」と呼ばれる一般ユーザー向けウイルス対策製品や、「Microsoft Client Protection」と呼ばれるエンタープライズ用ソフトウェアの準備も進めている。「Windows用のセキュリティ製品のアフターマーケットは、Microsoftが無視できないほど大きくなっている」(Jaquith氏)

 一般ユーザーや小さな企業は、大半がMirosoftから提供されるスパイウェア対策機能を採用するほか、同社のウイルス対策製品も選ぶ可能性があると、複数のアナリストが予想している。しかし、もっと規模の大きな企業では、SymantecやMcAfee、Trend Microのような実績のあるウイルス対策ソフトメーカーの製品を検討することになると、これらのアナリストは述べている。

 しかし、Vistaの登場でスパイウェアが消えてなくなったり、スパイウェア対策ソフトの業界が終焉を迎えるという考えには、誰もが同意しているわけではない。「OSに追加されるこれらの機能は、いずれもスパイウェアとの戦いに役立つと思う。ただし、万能薬があるとは思わない」とWebrootの最高経営責任者であるDavid Moll氏は言う。同社はスタンドアローンのスパイウェア対策ソフトの最大手だ。

 Vistaは影響を与えるだろうが、しかしそれでスパイウェア対策が万全になるとは思わないと、「CounterSpy」のメーカーであるSunbelt Software社長のAlex Eckelberry氏も述べている。同氏によれば、スパイウェアの作成者やハッカーにとって、そうした行為を続けることには非常に大きな金銭的メリットがあるという。

 もし、VistaやDefenderでも完全に脅威を取り除けないとすれば、常にサードパーティ製ソリューションの市場が存在することになると、The NPD GroupアナリストのChris Swenson氏は言う。

 「Microsoftの新しい製品群は優れたもののようで、スパイウェアの脅威を大幅に軽減すると思う。しかし、PCにまったくスパイウェアが入り込まないようにできるかどうかについては、私はどちらかというと懐疑的だ」(Swenson氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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