コダック社と言えば銀塩フィルムと普及型カメラの開発販売で、世界的にも有名な写真の歴史そのものとも言えるメーカーである。コダック社がなければ今現在の写真文化は存在しなかったと言っても過言ではないだろう。しかしPCの普及に伴うデジタルカメラ化の波の中では、後発ともいえる日本のカメラ、フィルムメーカーに圧されその存在感を発揮することができないでいるのが現状だ。しかし実のところはデジタルの分野においてもその黎明期より技術および製品開発を行ってきている。現にコダック製CCDを採用している他メーカー製デジカメも多数存在する。その蓄積してきた技術とノウハウを注ぎ込んだデジカメが、この「EasyShare V570」だ。
この「EasyShare V570」の特徴は、一見して判るその二つのレンズであろう。6.4〜19.2mm(35mm判換算39〜117mm相当)の3倍光学ズームレンズと3.8mm(35mm判換算23mm相当)の超広角レンズにそれぞれに用意された2つのCCD。そのレンズは描写力に定評のある、独シュナイダー「KREUZNACH C-VARIOGON」と贅沢だ。この二つのレンズはいずれも光学系にプリズムを使用することで、20.4mmという薄型のボディに納まっておりズーミングによりレンズが延びることもない。
このデュアルレンズという独創的ともいえる発想のおかげで、相対的なズーム比は約5倍となる。実際の使用感だが、望遠117mm側からズームアウトしてくると一旦39mm広角側でストップする。そこでさらにズームアウト側にボタンを押すと23mm超広角に切り替わる。この画角の差が若干急激に思えるところだが、ズームレンズではなく超広角レンズへとレンズ交換したと思えばさほど違和感もない。
さてこの23mm相当という超広角レンズだが、なかなかどうして実際に撮影してみるととても面白い。一眼レフデジカメで広角レンズを日頃から使用している私などはその画角に普通に慣れているのだが、コンパクト機となると頭のどこかで広角域を最初から諦めていたところがある。ところがこの「EasyShare V570」では躊躇無くワイドレンズを選択できるのだ。プラス1本のレンズを持ち歩いている感覚に近い。しかも超広角であるところの強いパースペクティブで遊ぶことができるのだ。いうなればプラスα分、写真表現の幅を広げることができるカメラである。
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