スポーツの才能を開花させる「運動神経測定テスト」--米企業で開発

文:Stefanie Olsen(News.com)
翻訳校正:坂和敏(編集部)
2006年02月10日 12時26分

 あなたは、自分がテニスのSerena Williamsのような敏捷性や走力、そしてゴルフのTiger Woodsのような集中力を持ち合わせた、隠れた運動神経の持ち主だと思われるだろうか。

 シリコンバレーのあるIT企業では、どの種目ならオリンピックで金メダルを獲得できるか考えたことのある人の疑問解決に役立ちたいと考えている。

 Sports Potential(本社:カリフォルニア州パロアルト)は、野球からボブスレーに至るまで、あらゆる競技に対する個人の適性を測定する一連のテストと、非常に複雑なソフトウェアを開発した。

 このシステムでは、まず被験者に2時間のテストを受けさせる。そして、同システムのウェブベースのソフトウェアが、身体組成、筋力、スピード、敏捷性、持久力といった身体的な特徴を割り出し、それを同年代の集団の結果と比較する。さらに、各競技の一流選手のデータを元に、被験者に向いたスポーツを割り出す。また、天性の才能がなくても、テニスの好きな人にはテニス用のトレーニング方法を示すなど、個々に指針を示すようになっている。

 Sports Potentialの創業者兼CEO(最高経営責任者)、Steve Spinnerは、「米国の子どもの間で一般的な、野球やバスケットボール、アメリカンフットボールといった競技は、いずれも視覚情報に合わせて身体の動きを制御する能力が求められるが、そうした能力を持ち合わせていないと『自分は運動音痴だ』と思い込んでしまう。しかし、これは単に自分に適したスポーツが見つかっていないだけのことだ」と語っている。

 「Sports Potential Assessment(SPA)」と呼ばれるこのプログラムは、13才以上を対象にしており、昨年夏に発表されて以来、全米各地のスポーツジムやクリニックで導入されつつある。

 しかし、このサービスが最もアピールしそうなニッチ市場は、スポーツに熱心な両親かもしれない。同社は4月に、8〜12歳の子ども向けサービスを娯楽施設、学校、およびサマーキャンプに投入する予定だ。同プログラムは最大38種類のスポーツに関して子どもに認識力や体力が備わっているかどうかを判断し、競技ごとに指導時のヒントをオンラインで提供する。テスト結果は子ども専用サイトに送信され、子どもはそこでインタラクティブに記録管理などを行い、両親は別のサイトで子どもの長所と改善点の概要を知ることができる。

Bradley元上院議員も後押し

 Spinnerの家系には肥満の傾向があり、両親も過度の肥満が原因で亡くなっていることから、同氏はつねに健康に気を遣っている。Ironmanレース(ハワイで行われる最も過酷なトライアスロンの大会で、フルマラソンのほか、160キロの自転車と、約3.8キロの水泳が課せらる)で完走した経験も持つSpinnerは、陸上競技の才能の持ち主で、高校時代にはコーチのお気に入りだったという。このコーチはサッカーをしていたSpinnerを見て、その足の速さに目を付けたという。

 Sports Potentialの支援者のなかでも最も有名なのは、民主党の大統領候補になったこともあるBill Bradley元上院議員だ。Bradleyはバスケットボール選手としてオリンピックに出場し金メダルを獲得した後、プロバスケットボールの花形選手として活躍した経歴の持ち主。

 BradleyとSpinnerが出会ったのは、偶然に乗り合わせた飛行機のなかだった。2002年の感謝祭の週明けのことで、2人はニュージャージーからサンフランシスコに向かっていた。Spinnerは、Sports Potentialのアイデアを売り込むメモをBradleyに渡し、自分の席に立ち寄るように誘った。その2時間後、ファーストクラスから出てきたBradleyはエコノミークラスの乗客の視線を感じながら、Spinnerの席に行った。

 その後2ヶ月もしないうちに、BradleyはSports Potentialへの投資を決め、同社の顧問委員会の会長となった。同社は、Bradleyが在籍するAllen & Coや、Thomas Weisel Venture Partners、Siebel Systems、CNET Networks(News.comの発行元)を含む企業やVC、個人投資家などから、あわせて450万ドルの資金を集めている。

 だが、Sports Potentialのサービスを売り込むのは容易なことではないと、Pacific Athletic Clubのフィットネスディレクター、Dan McDonoughは言う。カリフォルニア州レッドウッドシティにある同氏のジムでは、このサービスをテストしたトレーナーもおり、6ヶ月ほど前にはわずかな間だがこれを会員に提供してみたこともあったが、あまり評判にはならなかったという。

 問題の1つは料金の高さだ。SPのテストは、実施するジムや学校、公園、リクリエーション・センターなどの違いにもよるが、1回あたり175〜225ドルもする。また、子供向けのSports Readiness Assessment (SRA)の場合は、1買い125〜150ドルとなっている。

 「このテストはすこし高すぎるし、かかる時間もながくて、内容も込み入っている。また、ある程度の年齢の人になると、その結果をどう活用したらいいかわからない」とMcDonoughはいう。「だが、たとえば子供の隠れた才能を開花させたい親なら、「ラクロスを試したことはあったっけ。ラクロスはどうだ?」というふうに、一部の市場向けには貴重なツールとなると思う」(McDonough)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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