いま話題の「digg」--生みの親ケビン・ローズに聞く[前編] - (page 2)

インタビュー:Richard MacManus
編集校正:坂和敏(編集部)
2006年02月09日 18時11分

評判システムについて

--評判システム("Reputation System")についてお伺いします。先日、私は「reddit」のカーマ・システムに関する記事を書きました。このシステムはSlashdotの評判システムのようなものです。Diggにこのようなシステムを組み込む予定はありますか。また、そのようなシステムの必要性を感じていますか。

 diggの舞台裏では、すでにカーマ・システムのようなものが動いています。このシステムは基本的に、スパムや不正行為の検知に利用されています。攻撃者の行動は自動的に検知されます。攻撃者を発見すると、システムはdiggの利用規約に反する行為が行われていることを管理者に伝えます。管理者は違反の種類に応じて、必要な措置を講じます。

 次のバージョンのコメントシステムでは、ユーザーのコメントを評価する仕組みを用意し、質の高いコメントを行うユーザーの評判を高められるようにするつもりです。しかし、サイトの質を維持するのは、基本的にはコミュニティのユーザーの役目です。ユーザーは適切でない記事、テクノロジーと関係のない記事、または重複して投稿された記事を報告することもできます。diggでは、通常はサイトの管理者が行うような作業をユーザーが行います。記事にマイナスの評価を与えることも可能です。一定数以上のユーザーからマイナスの評価が与えられた記事は、トップページへの掲載を待つ記事のリストから外されます。しかし、サイトから削除されることはありません。

--diggの評判システムは、ユーザーではなく、記事を評価するシステムだということでしょうか。つまり、評価の対象は記事にコメントをしたユーザーではなく、記事そのものの質であると。この見方はあたっていますか。

 適切な見方だと思います。ユーザーを評価するシステムには、規模の面で限界があります。diggの登録ユーザーは16万人に達しており、個々のユーザーを評価することは不可能です。たとえば、diggには「友だちシステム」という機能があります。この機能は新着記事を見つける方法として、急速に人気を集めています。ユーザーはこのシステムを利用して、自分が信頼するユーザーをひとつのグループにまとめることができます。グループのメンバーはお互いの記事を読み、その内容を信頼します。記事とお気に入りのメンバーを組み合わせることで、ウォッチリストのようなものを作成できるのです。このシステムを利用すれば、特定のメンバーがどの記事に投票したのか、どのような記事を投稿し、どんなコメントを行ったのかを追跡することができます。これらの情報はユーザーのプロフィールに保存され、ひとつのRSSフィードとして、まとめて読むことができます。

集団思考の問題

--この話は、集団思考の問題にもつながってきます。最近では「diggユーザーは記事に対する自分の意見を述べているのではなく、そのときどきのコミュニティの意見に流されているのではないか」という議論が高まっています。これを問題だと考え、何らかの対策を検討していますか。私が具体的にイメージしているのは、O'Reillyのライターをめぐる騒動です。この点で、システムを改善する計画はありますか。

 diggには最新のニュースが即座に投稿されるので、新聞と同じような問題に直面しています。誤報があった場合、新聞は元記事を取り消す文書を発表します。新聞と違うのは、diggではひとつのニュースに対する別の見方を、同じ重みで紹介できることです。新聞の場合、記事の取り消しや修正は、他の記事に埋もれるように発表されるのが普通です。

 O'Reillyのライターの件では、間違った情報を記載した記事へのリンクが、diggのトップページに表示されるという事態が生じました。しかし、その直後に正しい情報を記載した記事へのリンクが投稿され、こちらもdiggのトップページに表示されました。

 今後の予定としては、虚偽または不正確な記事にはマークをつけ、その記事が不正確と判断されていることを、ユーザーが一目で理解できるようにするつもりです。diggには大量の記事が次々と投稿されますが、新規の記事が投稿されるのと同じくらいの早さで、追加情報や続報などのフォロー記事を投稿することもできるのです。

--O'Reillyのライターの件で、もうひとつお聞きします。このライターは後日、自身のブログで、自分の名前を誰かが検索した場合、diggに投稿された最初の記事がトップで検索されてしまうことを懸念していました。diggまたはGoogleは、この問題を修正できないのでしょうか。この哀れなライター氏にとって、これは少々、厳しすぎる仕打ちなのでは。

 来週中に新しいシステムを立ち上げます。新しいシステムでは、記事が不正確だと判断されると、ただちにユーザーの注意を喚起する措置が取られます。具体的には、記事の冒頭に、それが不正と判断されたことを示す文言が表示され、その記事にアクセスしたユーザーが、その記事に問題があることをすぐに理解できるようにする予定です。Wikipediaでも、不正確な情報を含んでいる可能性のある記事にはコメントが挿入されますが、それと同じイメージです。

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