さて、そんな状況の中で携帯電話各社が打ち出している「音楽ケータイ」の利用実態についても見てみたいと思います。全体では7.5%の人が携帯電話(音楽再生機能搭載モデル)で音楽を聴いていると答え、20歳代以下ではさらに多く、12.6%の人が利用しています。KDDIの新音楽サービスの発表に自信が感じられる程に、実際に利用している人が存在していることがわかりました。
ケータイにあまりにも多くの機能が集積していることから、音楽についてはiPodなどの専用端末が使われるのでは?とも言われていますが、「ケータイで音楽を楽しみたい!」という層は、あるボリュームを形成しているようです。LISMOのようなサービスが増え、また音楽再生機能搭載モデルへの買い替えが進めば、さらに増加することが考えられます。
次はPCから離れ、既存の音楽メディアについて見てみましょう。カーステレオで音楽を聴くという人は、全体で1位でした。年代別では、特に30代から50代の人たちでダントツに高く、音楽を聴くための時間がなかなか取れないこれらの世代にとって、クルマの中が、音楽に触れる貴重な空間と時間であることがわかります。
各自動車メーカーは次々とiPodとの連携を発表し、カーオーディオにiPodを接続して楽しむというソリューションを提供しています。上記結果でも判明したように、これがAppleにとっていかに妥当な戦略であるかが理解できます。「大人に音楽を聴かせるなら、クルマを押さえろ!」といったところでしょうか。将来、ワイヤレス通信が発展した際には、カーオーディオへ直接楽曲が配信されることが考えられます。クルマという空間は、デジタル音楽が入り込む大きな市場のひとつと言えるでしょう。
FM/AMラジオが全体で2位でした。斜陽メディアと思われがちですが、パワーON/OFFスイッチと選局の操作だけで音楽が流れてくる気軽さは、やはり完成されたメディアとして、信頼されています。どうやってデジタル音楽のユーザビリティを、このレベルにまで到達させるかが、さまざまな音楽サービスの普及において重要なのかもしれません。iPod+iTunesの勝利の一因として、このことが指摘されるのは言うまでもないでしょう。
著作権の問題など、課題をコツコツ克服してきたデジタル音楽のチャレンジですが、今回の調査で、着実にその努力はユーザーの獲得へと結びついていることがわかりました。しかし、まだまだこの分野は発展途上の段階。iPod+iTunesの覇権がいつまでも続くわけではないでしょう。デジタル音楽プレイリストが着目されるなど(関連記事)、アイデアやビジネスの余地は、なおもありそうです。
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