「プラズマテレビはパナソニックの顔」--松下電器山田喜彦氏に聞く - (page 3)

文:Michael Kanellos(CNET News.com)
編集校正:坂和敏(編集部)
2006年02月01日 18時38分

--パナソニックは米国市場で、他にどのような製品に力を入れていく予定ですか。

 高品位映像がパナソニックの進む方向性です。われわれが販売に力を入れているのはプラズマテレビだけではありません。ホームシアター製品--すなわち、DVDレコーダーや、2006年中にはおそらくBlu-ray方式のDVDプレーヤー、それにアンプやスピーカーにも力を入れていきます。それから、HDテレビとデジタルカメラを組み合わせることもできます。デジタルカメラで撮った写真をSD(Secure Digital)カードに記録し、それをプラズマテレビのスロットで観ることもできます。今や写真は、紙に印刷したものではなくテレビの大きな画面で楽しめるようになっているわけです。友人や家族に、スライドショー形式で写真を見せることもできます。

 さらに、セキュリティカメラをIP接続することも可能です。家やガレージ、裏庭側の窓を監視することもできるし、カメラにセンサーを追加することもできます。また、誰かが侵入してきた時に、プラズマテレビの隅にその映像を映し出すこともできます。こういったことは、アナログ技術しかなかった頃には不可能でしたが、デジタル技術のおかげで今では可能になっています。

 問題は、それをどうやって人々に伝えていくかということです。そういったことが可能になっているとは知らない消費者に対して、われわれはもっと手を差し伸べる努力をしなければなりません。テレビはテレビでしかないと考える人々もいますが、現代におけるテレビは、従来のテレビとは違います。いつかは、テレビ電話という形でそれを目にすることになるでしょう。

--ビデオ会議システムに力を入れていくと計画はありますか。ビデオ会議は人々に好まれるアイデアの1つですが、まだ主流にはなっていません。

今年は計画していませんが、来年にはと考えています。ビデオ会議への需要は確かにあります。

--HDビデオカメラはどうでしょうか。いくつかのモデルが2005年に発売されましたが、ものすごく高価です。

 われわれは、一般ユーザー向けではなく、「プロシューマー(プロフェッショナルとコンシューマーを組み合わせた語)」向けのモデルをすでに出しています。このモデルは12月に発表したばかりです。一般向けのモデルは2007年に発売する予定で、CESではそのモックアップを展示しています。価格は1000ドルぐらいを予定しており、これは(一般向けのHDビデオカメラの価格として)魅力的だと思っています。

--パナソニックのブースで展示されているカメラの多さが目を引きます。

 われわれがカメラに一段と力を入れ始めたのは2005年後半でした。そして今年は、米国のパナソニックにとってデジタルスチルカメラの年であり、2005年の3倍のビジネスを見込んでいます。特に注力していくものとしては、光学式手ぶれ補正機能があります。これは、シャッターを押した時にカメラを持つ手が震えても、とてもくっきりした写真を撮れるようにする機能です。また、ワイドスクリーンテレビのような、縦横比16:9の写真を撮ることができる機種も提供しています。

--2年前のCESでは、どの米国企業でも家電分野に大々的に参入する計画だと言っていました。しかし、そういった企業の動きは2年前に比べて静かになっており、(CESの)メインフロアでもDellの大きなブースは見あたりません。これらの企業は、家電市場への参入の難しさを過小評価していたのでしょうか。

 彼らのことを競合相手とはまったく思っていないことは確かです。また、彼らが失敗した理由は私にはわかりません。おそらく・・・プラズマに話を戻しましょう。われわれは、テレビの画質に力を入れています。私は主にコンピュータ分野で仕事をしてきました。今回米国に赴任するまでは、松下でコンピュータビジネスの責任者をしていました。そのため、私にはコンピュータ業界の人間のメンタリティがわかります。テレビ屋とコンピュータ屋のメンタリティはまったく違います。テレビについていえば、われわれは常に、その品質や色に非常にこだわります。しかし、コンピュータ業界の人間は、正直なところ、そのようなことを気にかけません。私も(コンピュータの仕事をしていた時には)そうでした。コンピュータは動画を再生できればそれでよいのです。

--それに関連する質問ですが、米国で一般ユーザー向けのノートPC市場に参入しようと考えたことがありますか。パナソニックは日本ではたくさんのノートPCを販売していますね。

 パナソニックは米国では政府機関や警察、通信業界に焦点を絞り、「TOUGHBOOK」を販売しています。TOUGHBOOKは非常に堅牢にできており、落としても壊れません。

 私は日本にいた時、PCの携帯性の向上とバッテリ駆動時間の長時間化を優先事項にしていました。しかし、米国のPCユーザーは、らくに持ち運びできたり、軽かったりしても、その分価格が高くなることを良しとしません。彼らは重いノートPCを持ち歩いています。これは日米の市場の違いです。

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