技術的にみると、XenとOpenVZとは補完的し合える関係にある。Xenは1台のサーバ上で複数の独立したOSを動かすことを可能にする一方、OpenVZは1つのインスタンスを分割する。しかし実際には、両製品の用途が似ているため、一部の機能が重複してしまう。
実際に、Novellの広報担当Kevan Barneyは、いまのところ同社が関心を寄せているのはXenだけで、OpenVZもしくはVserverを採用する予定はないと述べている。
「当社のエンタープライズ向けLinuxに関して、ユーザーが次世代製品への追加を最も望んでいるのは仮想化技術だ。今年は『Suse Linux Enterprise Server 10』の一部としてXen 3.0 hypervisorを提供していく」(Barney)
Barneyはさらに、「われわれは常に仮想化分野の研究を行なっており、われわれが認識しているニーズを満たすものなら、Xen以外の技術も採用するつもりだ。ただし、現時点では、(OpenVZとVserverは)どちらも当社の基準を満たしていない」と付け加えた。
これに対して、SWsoftは大手LinuxディストリビューターがOpenVZを支持するようになると期待している。大手ディストリビューターの製品は通常、Linus Torvaldsが提供しているカーネルにはない修正を加えたバージョンを使用している。
「われわれの主たる目標は、Suse LinuxとRed Hat Enterprise Linuxに(OpenVZを)採用させることだ」(Korotaev)
SWsoftにとって、Red Hatとの協力は非常に重要だ。Red Hat(本社:ノースカロライナ州ローリー)広報担当のLeigh Dayも、「SWsoftとの協力には、大いに興味を持っている。われわれは、SWsoftと協力しながら、彼らのソフトウェアをハイエンドのOSやFedoraに搭載することに取り組んでいる」と述べた。またRed Hatでは、メインラインのカーネルへの採用にも力を貸しているという。「リソース管理機能を実装するために、カーネルの変更をいくつか行なう必要がある」(Day)
しかし、仮想化技術をカーネルに組み込むのは容易なことではないだろう。Torvaldsの右腕であるAndrew Mortonはかつて、OpenVZやVserverの採用を検討したことはないとNews.comに語っていた。
Korotaevは、たくさんの課題が残っていることを承知している。「目標の達成には長い時間がかかるだろう。Andrew MortonやLinus Torvaldsと、何度も話し合う必要がある。仮想プライベートサーバというアイデアは、Linuxカーネルの核心に立ち入るものであることから、簡単に実現できるとは思えない。主な問題は、開発コミュニティが受け入れるようなクリーンなコードにすることだ」(Korotaev)
OpenVZはこれまでGPL(General Public License)に準拠してきたが、完全なオープンソースプロジェクトになったのは2005年9月のことだ。Korotaevによると、OpenVZの開発に外部の力を借りられるようになれば、同ソフトウェアをユーザーの望む方向に発展させることができるほか、プログラマーがバグを発見するまでの時間も短縮できるとしている。
また、オープンソース化の裏にはビジネス的な打算もある。「Virtuozzoにもっと目を向けてほしいと思う」と、Korotaevは言う。Virtuozzoには、仮想プライベートサーバをリモートで管理したり、バックアップしたりするためのツールが追加されている。また、仮想プライベートサーバを構築したり、それを稼働させたまま別のコンピュータに移動させたりすることも可能になっている。
GPLでは、リクエストがあればソースコードを提供することが求められているが、SWsoftはこれまでソースコードの共有には消極的だったと、Korotaevは言う。
「以前はVserverのような競合相手を念頭に置いており、そうした企業が当社のコードを容易に入手できる事態を避けようとしていた。むろん、Virtuozzoを購入すれば、競合相手も(ソースコードを)入手することは可能だっただろう。しかし、われわれがこの技術の開発を始めた当時は、われわれのアイディアをほかのプロジェクトに取り入れられないようすることは重要だった」(Korotaev)。
それに対し、VserverのプロジェクトリーダーHerbert Poetzlは、「修正したカーネルのソースコードを顧客に提供しない」というSWsoftの方針は、「基本的にGPLに抵触するものだった」と指摘している。
しかしPoetzlは、SWsoftによるOpenVZのオープンソース化を歓迎すると述べた(同氏は、SWsoftからOpenVZの管理に関する申し出を受けたが断ったと述べた)
「SWsoftがこうしたプロジェクトに着手したことを非常に嬉しく思っている。競争によって両者の改良が進み、それがひいては顧客の利益につながるからだ」(Poetzl)。
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