パーティショニングは、異なるオペレーティングシステムを同時に稼働し、サーバの効率性を高めるため技術だが、これをLinuxに搭載する計画が進んでいる。
SWsoft(本社:バージニア州ハーンドン)のプロジェクトマネージャーKirill Korotaevによると、同社は「OpenVZ」を一般的なLinuxカーネル(OSの中核となるソフトウェア)に組み込み、主要な商用Linuxの一部として普及させることを目指しているという。
この取り組みに関して、同社にはRed Hatという強力な仲間がいる。Linux販売最大手のRed Hatでは、同社がマニア向けに無償で提供している「Fedora」バージョンのLinuxにOpenVZを追加する計画を進めている。
OpenVZをLinuxの標準的なパーティショニング技術にしようとする両社の動きについて、Pund-ITのアナリストCharles Kingは「時宜を得たもの」と述べている。
「仮想化はどのITベンダーにとって、現在もしくは近い将来、重要な技術になると考えている。仮想化機能を自社のソリューションに簡単に統合できる方法を見つけだしたベンダーが、競合相手の一歩先を行くことになるだろう」(King)。
ここ数年で、1台のサーバを理論的に分割し、独立したセクションを設ける各種の新技術が登場している。こうした技術を使えば、1台のマシンで複数の独立したタスクを同時に処理できる。その結果、アイドル時間を減らし、マシンを有効に稼働させ続けることが可能になる。そして、稼働効率が向上すれば、十分に活用されていないサーバを多数動かす代わりに、より少ない数のマシンで同じ量の処理をこなせるようになり、それが管理/運用コストの削減にもつながる。
サーバを分割するためのこうした方法の多くは、仮想化技術を利用している。仮想化技術とは、ソフトウェアと、それより下位のソフトウェアもしくはソフトウェアが動作しているハードウェアとの間のハードリンクを断ち切り、ソフトウェアの実際の基盤を仮想的な基盤に置き換えて、オペレーティングシステムもしくはそれより上位のソフトウェアに、実際の基盤上で動作しているように認識させる技術を指す。
OpenVZは、独自の仮想化技術を用いてLinuxを分割することで、上位のソフトウェアから見ると複数の独立したOSインスタンスが存在しているように見せかけている。これにより、実際には基本となるOSが稼働し続けていても、「仮想プライベートサーバ」と呼ばれる個々の領域を別々に再起動することが可能になる。
OpenVZのアプローチは目新しいものではなく、同様のプロセスはほかの製品にも利用されてきた。例えばSun Microsystemsは、1年前にリリースした「Solaris」バージョン10に「container」と呼ばれる同様の機能を搭載した。それ以前にも、UNIXの一種である「FreeBSD」に「jails」と称される関連技術が追加されていた。また、IBMのSerge Hallynは、BSDのjailsの亜種となるLinux用のjailsの開発に取り組んできた。
また、OpenVZは、Linux向けの初めての主要な仮想プライベートサーバですらない。同製品に先立つものとしては、Positive Softwareの「FreeVPS」製品に含まれるオープンソースパッケージ「Vserver」がある。
もっとも、IlluminataのアナリストGordon Haffは、OpenVZはVserverよりもすぐれた特徴を備えていると述べている。Haffによると、「OpenVZは、多数の大手ホスティングプロバイダーが利用している評価の高い商用製品から派生したもので、明らかに完成度が高い」という。オープンソースのOpenVZは、Linuxへの仮想化技術搭載を主導するSWsoftが販売する「Virtuozzo」の基盤となっている。
OpenVZの仮想プライベートサーバの普及を困難にしている要因の1つは、仮想マシンソフトウェアという別の技術の存在だ。最近では、Intelの「Xeon」やAdvanced Micro Devices(AMD)の「Opteron」などのx86プロセッサを搭載するサーバに、仮想化による新しいパーティショニング機能が採用されている。これらのソフトウェアのなかで最初に登場したのは、VMwareの製品だ。「hypervisor」という技術を利用するこのソフトウェアなら、1台のコンピュータ上で複数のオペレーティングシステムを動作させることが可能だ。
現在では、「Xen」というVMwareに代わるオープンソース製品も登場している。Xenのhypervisorは、XenSourceという新興ベンダーが開発したもので、大手サーバメーカー各社やLinuxサプライヤー各社がこの技術をサポートしている。
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