海外モバイル市場に打って出たサイバードとフェイスの勝算

試行錯誤と方向転換

 日本のモバイル市場において成功を収めたコンテンツプロバイダーであるサイバードと、モバイルコンテンツ、ゲームソリューションやサウンドクリエーションサービスなどを提供するフェイス。両社のグローバル展開における戦略、そして今後の見通しは。New Industry Leaders Summit 2005 Autumnのセッション「モバイル市場の成長戦略−グローバル戦略」では、サイバード 取締役 兼 執行役員副社長の岩井陽介氏と、フェイス 専務取締役の中西正人氏の両氏によるディスカッションを交えながら進行した。

 セッションでは、はじめにサイバードの岩井氏が、各エリアのモバイルコンテンツ市場を予測した。岩井氏は、「2005年末までに欧州が4億5000万、中国・韓国・日本が5億1000万、米国が2億弱台数が普及する見込みで、発展途上国でも市場は広がるだろう」としている。同社は2005年6月に買収したカナダのAirbone Entertainmentへ事業投資を開始。メインターゲットは市場規模の大きい欧米と中国で、成長が見込まれるエリアとしてブラジルやインドも今後のターゲットとして検討する構えだ。

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欧州と中国をメインターゲットにするサイバードの岩井氏

 サイバードは過去にも海外展開を試みたものの、成功したとは言い難い。2000年には韓国での会社を設立したが、業績が思わしくないことから2003年に撤退した。また、欧州へのiモード進出に合わせて国内で提供しているコンテンツをローカライズする形で提供しているが、iモード市場そのものが伸び悩んでいる。そこで国や地域による携帯電話カルチャーや進化を見据え、2004年には現地のサービスは現地で培う方針へと転換した。

 日本国内においてはいちやはく第3世代携帯電話(3G)マーケットへ移行し、リッチコンテンツの普及に取りかかったものの、他の地域ではいまだ2G、2.5Gが主流だ。従って現在日本で行っていることはグローバルな未来像を予見できるということにもつながる。例えば集客方法やサービスなどを現地で買収した企業へ注入し、各地との文化を融合させながらサービスを展開していく考えだ。

 1992年に設立したフェイスが、モバイル事業に参入したのは1998年。iモードや着信メロディの仕組みを作り、ライセンスやコンテンツ、着信メロディなどの事業を手がけてきた。2001年より海外展開を始動させ、翌年には子会社を数社設立している。着信メロディやモバイルコンテンツサービスを行う米国のModerati、モバイル用のサービスソリューションを提供するフランスのDigiplug、着信メロディサービス企業である中国のAnyMusic、モバイルコンテンツサービスを行うブラジルのTakeNET、テクノロジーライセンスを扱うフランスのFaith Technologyなどを、買収または投資している。

 フェイスの中西氏は、「メディア系企業と組むならば話は別だが、モバイルコンテンツだけを単体で考えると海外展開は難しいのではないか」と考える。これまでのモバイルコンテンツはキャリアが庇護する下で成長を遂げてきたが、欧州のビジネスモデルでは、SMSまたはプレミアムSMSのようなものを利用し、独自の事業展開を行う。この方法ではプロモーションやマーケティングに従来以上のコストがかかるため、フェイスのようにアグリゲーター的な位置づけだけでは厳しい見通しだ。

 そういった背景から、事業拡大の目的で米国にFaith Communicationsを立ち上げ、米国最大手の携帯電話キャリアであるCingular Wirelessの回線を用いたMVNO(Mobile Virtual Network Operator)のブランド「VOCE」を開始。年収20万ドル以上の富裕者層をターゲットに、高性能端末の提供に加え、質の高いカスタマーサービスを提供する。

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