Googleの共同創業者Larry Pageと、Yahoo CEOのTerry Semelは、今週ラスベガスで開催中のConsumer Electronics Show(CES)でそれぞれ基調講演を行うことになっている。
これまで専ら小型電子機器や家電製品を中心に扱ってきたCESで、インターネット業界を代表する2つの企業のトップが講演するというのは、一見不思議な話に感じられる。だが、GoogleとYahooとの間で長らく続いている戦いが、一般ユーザーの身近にあるハードウェアにも及んできていることを考えると、PageやSemelがCESで講演することには大きな意義がある。
現時点では、GoogleやYahooが検索エンジン市場における勝ち組みであることに疑いの余地はない。そして、PC以外の機器を使ってインターネットにアクセスする消費者が増えていることから、両社がユーザーを追いかけてハードウェアの分野に進出すべきだという考えも意味を持つ。しかしここで当然問題となるのは、両社がそうした計画をどう進めるかという点だ。両社はすでにビデオやテレビ、音楽を対象とした検索技術の開発に取り組んでいる。そして、両社の検索技術をある種のハードウェアに組み入れることはさほど無理なことではない。
このような理由から、Googleが自社のインターネットサービスと簡単につながる何らかのハードウェアを発表するのでないかとの憶測が飛び交っている。しかし、インターネット検索の分野で高い成長率と大きな利益を手にしているGoogleやYahooが、わざわざ薄利なハードウェアビジネスに乗り出す可能性は相当低いと、多くのアナリストが述べている。
それよりも、PCやテレビ、セットトップボックス、PDA、携帯電話など、どんなハードウェアであろうと、デジタルメディアの配信や利用でカギとなるのは検索技術であると消費者に納得させるために、GoogleやYahooの幹部らが講演を行い、またそれを実現するようなサービスを発表するという可能性のほうが高い。そして2社は、そのためには各々の技術がなぜ最も適しているかを論じるであろう、とアナリストらは予想している。また、詳細な情報は依然として乏しいが、数件の提携が発表されても不思議はない。
「彼らは、あらゆる家電製品のなかに検索の役割を見出しており、その実現に力を貸したいと考えている」と業界アナリストであり、「SearchEngineWatch.org」で編集者を務めるDanny Sullivanは指摘する。同氏によると、ハードウェア分野に進出するためのコストを考えると、Googleがこの方向に進むのは「奇妙なこと」だという。
ソフトウェアやインターネット関連の企業がハードウェア分野に参入してうまくいった例はほとんどなく、例外はゲーム機の世界に「Xbox」を投入したMicrosoftだけだ。そのため、GoogleやYahooもハードウェアビジネスには手を出さないほうが賢明だろう。
さらに、唯一の例外であるMicrosoftでさえ、ハードウェアの分野で常に成功してきたわけではない。同社は1997年に4億ドル以上の金額を費やして、WebTVという新興企業を買収した。WebTVが販売していた低価格のネットアクセス用端末は、その後「MSN TV」という製品に生まれ変わったが、それでも広く普及してはいない。また、AOLも何度か自社ブランドのPCを発売したことがあるが、結局限られた成功しか収められなかった。
WebTVのようなこれまでの取り組みがうまくいかなかったのには理由がある。ハードウェアビジネスは、ソフトウェアやインターネットサービスのような利益率の高いビジネスに慣れた企業の間尺には合わない。独自にハードウェアを開発するとなると、多大なコストと時間が必要になる。また、すでに大量のPCが出回っていることも忘れてはならない。
しかし、現在では数多くの家庭にブロードバンドが普及していることから、以前とは状況が異なるという見方もできる。また、技術関連企業の間ではインターネットと家庭とをつなぐ接点をコントロールする必要があるとの認識が少しづつ広まっている。この接点をおさせた者だけが次の大きな金鉱を掘り当てられる、というわけだ。
たとえば、Cisco Systemsは11月にセットトップボックスメーカーのScientific-Atlantaを69億ドルで買収した。Ciscoのネットワーク機器とケーブルテレビ用セットトップボックスとの組み合わせは非常に強力だ。また、YahooはすでにDVRメーカーのTiVoと提携し、ユーザーがウェブ上にあるビデオを検索して観られるようにしようとしている。
ハイテク業界と家電業界がひとつになろうとしていることは間違いなく、SemelやPageがCESに登場することもその点を裏付けている。
また、Googleがとくに無線市場でPCに代わる技術に興味を示していることも間違いない。昨年、同社はAndroidという新興企業を買収したが、この会社では無線機器用のオペレーティングシステムを開発していた。また同社の創業者は米国で人気の携帯端末「Sidekick」の開発に携わった人物だ。それでも、現在のコスト構造が改まらない限り、Googleがハードウェアビジネスに興味を示すことはないだろうと、複数の業界アナリストが指摘している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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