ミレニアルズも同じ意見であるようだ。先ごろ、親よりも技術を理解していると思うかと尋ねられたメリーランドの子どもたちは、一様に「うん!」と答えた。
「僕はコンピュータを直せるけど、ママはできない」と8歳のJamieはいう。今、Jamieがはまっているのはビデオ会議だ。「遠い国の人と話すのはおもしろいから」とJamieはいう。
友人のZeikはこう付け加える。「パパとママは、僕のビデオゲームもできないんだ」
しかし、こうした極度に活発な脳のシナプスは、どのような質の思考をもたらすのだろうか。この1年間、10代の少女の技術利用状況を調査してきた研究者のWendy Marchによると、調査対象となった少女たちはコンピュータに文字を打ち込む作業に慣れきっており、何も考えなくても指が動くようになっているという。そして、惰性で技術を使っている少女も少なくないとMarchはいう。
「大学の論文に取り組むときは、頭を切り換えるために、コンピュータから離れるようにしていると答えた少女もいた。そうしなければ、プロセスに気を取られて、思考に集中できないからだ」とMarchはいう。MarchはIntelのPeople and Practices研究部門でインタラクションデザイナーを務めている。「少女たちは、技術を自在に操れるだけでは何にもならないことに気づいている。だからこそ、意識的に立ち止まろうとしている」(March)
サンフランシスコのハムリン女子校にあるコンピュータセンターの壁には、若者のこうした傾向に対する警告が、冗談交じりにこう書かれている。「注意:この機械に脳はありません。自分の脳を使うこと」
10代の少女は、特に技術の影響を受けやすいと研究者たちはいう。この世代の女子は非常に話し好きで、たえず携帯電話を使っておしゃべりをしているからだ。秘密の話には文字メッセージやIMが利用される。
ハムリン女子校の6年生(11-12歳)は、Eジャーナリズムのクラスでウェブ新聞を作成している。発行頻度は2週間に1度だ。いつもはMySpaceかAIMを使っているので、図書館を利用することはほとんど、あるいはまったくないと少女たちはいう。
「子どもが育つ環境は様変わりした。現代の子どもたちは、技術と共に育つようになっている」とMySpaceのBrinkmanはいう。「こうした技術は、われわれの世代にとっての電話のようなものだ。それがない生活など、もはや想像できない。モバイル、IM、そしてウェブの融合はさらに進むだろう。この傾向は、世代を追うごとに強まっていくはずだ」(Brinkman)
一般に、技術は子どもの独立性を養う役割を果たしてきたが、何らかの形で、まったく逆の効果をもたらす可能性もある。たとえば、電話会社は携帯電話に位置検知センサーを搭載する計画を温めている。文字メッセージとウェブ閲覧を監視するソフトウェアはすでに開発済みだ。
子どもがどこで何をしているのかを、親が常時正確に把握できるようになる--多くのティーンエージャーにとって、これは最悪のシナリオだろう。世代は変わっても、決して変わらない社会力学がある。
「技術はわれわれの行動を変えるわけではない。同じことを、以前とは少し違うやり方でできるようにするだけだ」(March)
(次回は「グラウンドゼロ--Declan McCullaghの視点」をお届けします)
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