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若者--新時代の到来を告げる「ミレニアルズ」

文:Declan McCullagh(News.com)
翻訳校正:坂和敏(編集部)
2006年01月12日 09時00分
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新時代の到来を告げる「ミレニアルズ」

 国際子どもデジタル図書館(International Children's Digital Library:ICDL)にあるバーチャルな本棚には、未来を知るヒントが隠されているかもしれない。

 ICDLのウェブサイトには、子どもの意見が反映されている。サイトの「シンプル検索」機能を使えば、約50冊の選択肢の中から、最適の一冊を選ぶことができる。画面に並んだ大きなボタンをクリックすれば、興味のあるジャンルの本(おとぎ話、冒険物語など)や、好きな色が表紙に使われている本にジャンプすることも可能だ。本棚をカスタマイズする機能や、本を読むためのソフトウェアも用意されている。ソフトウェアは3種類ある。そのひとつは子どもの意見を取り入れて開発されたもので、ページを螺旋状に並べ、好きなページに直接ジャンプできるようになっている。

 この検索システムは、高度なアルゴリズムを使っているとはいえないが、子どもにとってはきわめて使い勝手がいい。子どもは大人と同じように検索したり、キーワードを入力したりすることができない。だからこそ、このサイトを構築したメリーランド大学は、子どもたちにソフトウェアを実際に使ってもらい、意見を求め、サイトの改良に継続的に取り組んでいる。

 「子どもに使ってもらうためには、本を探したり、読んだりする方法を複数用意する必要がある」とメリーランド大学情報研究学部助教授のAllison Druinはいう。Druinは2002年11月に始まったこの書籍プロジェクトのディレクターを務めている。「従来の教育ツールは、情報アクセスの方法を限定し、子どもをひとつの学習方法に押し込めてきた」(Druin)

 この図書館は社会学者が「ミレニアルズ」と呼ぶ世代--つまり、2000年代に成人を迎える子どもたちの性質を理解する重要なヒントとなる。

ミレニアルズ
社会学者たちは、デジタル技術とマスメディアによって、絶えず感覚を刺激されながら育ったミレニアムの若者たちを「ミレニアルズ」と名付けた。X世代(一般には1960-70年代生まれ)と異なり、この世代にはまだ、「○○世代」といった広く認知されている呼称はない。ベビーブーム世代の子どもを意味する「エコー・ブーマー(Echo Boomers)」と同様に、ミレニアルズは1980年代およびそれ以降に生まれた人々を指す。

 ミレニアルズは、コンピュータに習熟し、技術を独創的に利用すると考えられている。この世代の最大の特徴は、マルチタスクを得意とし、常時接続を当然のものと考えていることだ。この世代の多くは、インスタントメッセージ(IM)、携帯電話、携帯メールなどを使って、絶えず他人とコミュニケーションを取っている。この世代の子どもたちが、待ち合わせに遅れた友人を手持ちぶさたで待っていることはまずないだろう。

 ブログ、wiki、タグ、IMなど、人と人をつなぐ技術がまるでウィルスのように広まりつつあるのは、この世代の学習方法、コミュニケーション、そして遊び方が変化していることと深く結びついている。Netscape Communicationsが株式を公開した年に生まれた子どもたちは10歳になった。彼らはデジタル技術と共に育ち、デジタル技術は彼らの読み書き能力、知性、友情、さらには思春期特有の自分探しの過程にも根本的な影響を与えている。

 彼らの祖父母の時代には、自転車が子どもの独立心の象徴だった。しかし、今日の多くの青少年にとっては、インターネットがその役割を果たしている。

 「インターネット漬けの毎日だ」とマイアミ大学4年生のAndrea Thomasはいう。「いつも友だちに携帯メールを打っている。そうでないときは、ノートPCでIMをやっているか、Googleで調べものをしている。正直なところ、大学の友だちを見ても、グループミーティング以外の目的で図書館を使う人はいない」

 Thomasのような人々は、過去のどの時代の若者も欲してきた「帰属意識」を、今日的な技術を使って表明しているにすぎないと、調査会社IconocultureのJonathan Steuer(技術コンシューマーストラテジスト)はいう。「過去の世代と違うのは、ミレニアルズは技術を使って、かつては不可能だった方法で、この世代の特徴とされてきた価値観を拡大していることだ」(Steuer)

 米国では、ほとんどの子どもが7歳になるまでに携帯電話を使い、コンピュータゲームで遊び、TiVoなどのオンデマンドテレビの使い方を習得する。技術に弱い親たちの世代には、およそ考えられないことだ。研究者によれば、この子どもたちは13歳になる頃には複数のIMソフトウェアを使いこなし、オンラインのチャットルームに出入りし、BitTorrentから違法コピーを少なくとも1曲はダウンロードするという。

 大学に行く年頃になると、ミレニアルズたちは自分のノートPCを持ち、ユビキタスなブロードバンド接続を当然のものと考えるようになる。ミレニアルズにとって、「高速道路催眠現象(highway hypnosis)」の感覚は当たり前のものとなるかもしれない。この状態にある人は、ほぼ無意識のうちに車を運転し、複数のタスクを同時にこなすことができる。

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