慈善活動をテーマとする電子商取引サイトが米に登場

Stefanie Olsen(CNET News.com)2005年12月20日 14時36分

 技術の世界はもちろんのこと、ビジネスの世界で理想主義を貫いている会社を滅多にみることはできない。だが、10月上旬のある日の午後、そんな会社がサンフランシスコのMission Districtに誕生した。

 Yobie BenjaminとAndy Rappaportは、John Kerryが立候補した2004年の大統領選挙期間中に、若者層を対象とした有権者登録活動などで親交を深めた。ソフトウェアマニアでもある2人は10月上旬のある日、ハリケーン「カトリーナ」などの大災害が押し寄せた後の世界の状況について漫然と語り合っていた。

 コンサルティング会社Ernst & Youngのパートナーを務めた経験をもつBenjaminは「カトリーナは、この国の悪い側面をいくつか浮き彫りにしてくれた。だが、それらは氷山の一角に過ぎない。これに気付いたとき、恵みの精神に基づいたモデルを構築して、ビジネスを成功させることはできないのだろうか、という疑問が湧いてきた」と述べる。

 「われわれは2人とも、(自己の利益を顧みず)ひたすら献身的な態度をとり続けることは、あらゆる理由から無理であると考えた」(Benjamin)

 その翌日の米国時間10月4日にはGoodStormが設立された。さらに、両氏は12月初めには、新しく入社した従業員8人とともに、慈善目的の電子商取引を手掛けるサイトを立ち上げた。すると、1日も経たないうちに、ビジネスが1件成立した。Princess ProjectがTシャツ8枚の販売に成功し、金銭的な理由で卒業記念パーティー用のドレスを購入できなかった10代の少女2人のために、寄付金を集めたのだ。

 これがGoodStormの活動だ。GoodStormの掲げるキャッチフレーズは「Capitalism Done Right(正しい資本主義の実践)」である。

 GoodStormのやっていることについて、わざとらしいとか、詐欺的であるとかいう人もいるかもしれない。しかし、このビジネスモデル自体は、Zazzle.comやCafePress.comなどのクリエイティブなオンデマンドマーケットプレイスを利益の出るベンチャー事業へと変化させるきっかけになるかもしれない。非営利団体であろうが、個人であろうが、また、オープンソースコミュニティであろうが、GoodStormではとにかく献身的であることが要求される。

 仕組みは簡単だ。個人や法人が写真、図画、ロゴ、芸術作品、あるいはキャッチコピーなどのデザインをウェブサイトに提供し、サイトがそのデザインを販売するのである。同サイトの訪問者は、そのデザインをTシャツ、帽子、バッグなどの製品に適用し、それを直接配送してもらえる。売上はウェブサイトの運営者と売り手で折半する。

 GoodStormの特徴は、慈善活動を促進していることだけではない。同社は、利益の大半をパートナーに渡すことでも、自社をほかの企業と差別化している。同社は売り手に商品の売上の70%を渡し、自身の手元には30%しか残さない。その一方で、Zazzleは売り手に約20%の手数料を払うだけで、残りを自分のものにしてしまう。

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