世界最大のPCメーカーである台湾のQuantaで、100ドルノートPCのプロジェクトが始動した。
世界中の子供たちに100ドルのノートPCを配布するために設立されたOne Laptop per Child(OLPC)は、PCのODM(Original Design Manufacture)先として、Quantaを選出した。このプロジェクトは、マサチューセッツ工科大学のNicholas Negroponteらが推進しているもので、ODM先はPCの製造だけでなく、最終的な設計工程にも関わることになっている。
Quantaという会社名は米国ではあまり馴染みがないが、同社はHewlett-PackardやDellの製品も手掛けているため、実は多くの消費者がQuantaの製品を手にしている。Quantaにとって最大のライバルは、長年競ってきた台湾のCompalだ。
100ドルPCのODM先にQuantaが選定されたことも特に不思議なことではない。2005年に入り、MITとQuantaは、5年間の研究契約を締結しており、その金額は2000万ドルにも及んでいる。同プロジェクトの支持者らは、OLPCが世界の大手メーカーと提携したことについて、同プロジェクトの実現が近づいていることを意味するとしている。
また、Negroponteは「発展途上国向けに教育目的で安価なノートPCを配ることについて、懐疑的な見方もあったが、この決定でそうした疑念もなくなった」との声明を発表している。
Quanta製のノートPCは第4四半期に公開される予定だ。これらのノートPCは、Linuxを搭載し、消費電力を最小限に抑えた(PCについた取っ手を回すことで電力をまかなえる)設計になっている。さらに、このPCは、メッシュネットワークに対応する機能を持ち、これを利用してインターネットに接続することも可能になる。
同プロジェクトでは、まず500〜1500万台のPCを中国やブラジル、インド、アルゼンチン、エジプト、ナイジェリア、タイに向けて出荷する。このプロジェクトには、Advanced Micro DevicesやBrightstar、Google、News Corp.、Nortel、Red Hatなどの企業が協賛している。
多くの人がこのプロジェクトを称賛してきたが、なかには、その実現性に懐疑的な見方を示す人もいた。Intel会長のCraig Barrettは、このコンセプトはあまり受け入れられないとする発言をしていた。発展途上国の消費者は本格的なPCを欲しがっているというのが、同氏の主張だ。
もっとも、過去に実施されたプロジェクトからも、発展途上国にPCを配布することの難しさがうかがえる。たとえば、ブラジルでは過去に何度も安価なPCを配布する計画が実行されては失敗している。またインドで設計された廉価版PC「Simputer」も広く受け入れられなかったし、AMDもインターネット機器を発展途上国向けに安価に提供しようと取り組んだが、この取り組みも成功しなかったと関係者は述べている。
こうした経験から、インドのRajesh Jainや同国の教育機関などは、シンクライアントを導入することで問題に対処しようと考え始めているようだ。他社が機能を完全装備したPCを定価で販売し、それをコミュニティ単位で共有させようとしているのに対し、これらの企業が推進するシンクライアントPCでは、カーバッテリーやソーラーパネルで電気をまかなえるため、エネルギーが節約できる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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