今年のホリデーシーズンは、ネコも杓子も「iPod nano」ばかり買い求めているように思える。
洗練されたデザインのこの小型音楽プレイヤーは、ハイテク系ギフトのあらゆるランキングを席巻している。主要家電チェーンのチラシでも大きく扱われ、Amazon.comでも相変わらず小型電子製品のベストセラーの1つになっている。
しかし、昨シーズンの人気ギフトだった「iPod mini」をまだ見捨てていない消費者もいる。Apple Computerは、9月にiPod nanoを発表すると同時に、iPod miniの製造を中止したが、なかにはプレゼント用にどうしてもiPod miniを購入したいと考え、そのためにはプレミアムを支払うことも辞さないという人もいる。
たとえば、ペンシルバニア州イーリー在住のPatrick McHenryはつい先日、4Gバイトで1000曲保存可能なピンクのiPod miniをeBayから275ドルで購入した。これは、本来の定価である199ドルより76ドルも高い。しかし、さらにすごい例もある。iPod miniの在庫を持つ数少ない家電販売店のCompu-Americaでは、同じモデルが349ドルで販売されている。また、Amazonに掲載されているサードパーティベンダーのなかには、4Gバイト版のiPod miniに400ドル以上の値段を付けているところもある。
しかし、小型化され、技術的にも優れているとされる4GバイトのiPod nanoが249ドル、そして7500曲保存可能な新しい30Gバイトのビデオ対応iPodが299ドルで購入できる今、なぜこれだけ高い金額を払ってまでiPod miniを買い求めようとするのだろうか。
McHenryの場合は、クリスマスのプレゼントとして友人のガールフレンドの願いを叶えるのが目的だった。「製造中止になっているため、持っている人が少ないだろうということで、彼女はiPod miniに夢中になった」(McHenry)
McHenryのガールフレンドは、数多く存在するiPod miniファンの1人に過ぎない。iPod miniには、iPod nanoにはない6Gバイトのバージョンがあり、ピンク、ブルー、グリーン、シルバー、ゴールドの各色がそろっている。
ここ3カ月の間に、eBayでは約3万6000台のiPod miniが販売され、ここ2週間ほどは売上のペースが上がっていると、eBayの広報担当Dean Jutillaは語っている。同氏によると、米国時間9日午後の時点で、同サイトではiPod miniのオークションが2200件も進行中だという。
iPod miniには、1件のオークションあたり平均15〜16件の入札がある。人気の高い4Gバイト版のiPod nanoがこれよりやや多い18件を記録していることを考えれば、その需要の高さがうかがえると、Jutillaは付け加えた。さらに、iPod miniは容量を問わず平均価格が173ドルから229ドルへと上昇していると同氏は付け加えた。
記憶に残る色
Compu-Americaの営業担当マネージャ、Fred Rafiは、iPod miniの店頭在庫不足に気付き、小売価格を大きく上回る金額でも大量に仕入れることを先週決めたという(ただし具体的な数は明らかにされなかった)。そして、価格をさらに引き上げたが、それでもいまだに「売れている」と同氏は言う。ただし、これが普通の状態ではないことは同氏も認めている。
「クリスマスという季節的な要因と、多くの人がいまだにiPod miniに愛着を持っているためだと思う」(Rafi)
iPod関連の話題を取り上げている人気のMacファンサイト「iLounge」で編集長を務めるJeremy Horwitzは、「技術面でいえば、iPod miniのほうが(iPod nanoよりも)好まれる要素はとくにない」と語っている。iPod nanoのほうが高速で、音質もカラー画面も優れており、ほかにも多くの利点があると同氏は指摘する。同氏はiPod miniにプレミアムが付いている理由について、稀少価値があること、色が選べること、そして傷が付きやすいというクレームが出ているiPod nanoよりもminiのほうが丈夫であるといった点をあげているが、これも想像に過ぎない。
Horwitzは「iPod nanoには白と黒があるが、どちらも面白みのある色ではない」と語り、iPod nanoには6Gバイト版がないことも付け加えた。つまり、4Gバイトから容量アップしたいという人たちには「中間」にあたる選択肢がないことになる。
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