第3回のテーマは「冬のボーナス、何を買う?」です。景気回復がいわれるなか個人消費も上向きのよう。昨年は「デジタル三種の神器」なんていう言葉も生まれ、デフレ脱却の牽引役とされたデジタル家電ですが、今年の模様はどうなのでしょうか?
この冬発売されるデジタル家電のなかから、人気の高いと思われる商品群「携帯音楽プレイヤー」「携帯電話・PHS」「家庭用ゲーム機(Xbox 360など)」など28の項目(複数回答可)を設け調査しました。
1 |
DVD/HDDレコーダー | 18.5% |
2 |
携帯電話・PHS | 15.7% |
3 |
携帯音楽プレイヤー | 14.6% |
4 |
デジタルカメラ低価格機(5万円未満のもの) | 10.6% |
5 |
携帯ゲーム機(ニンテンドーDS、PSPなど) | 9.7% |
6 |
ノートパソコン低価格機(18万円未満のもの) | 7.4% |
7 |
液晶テレビ(27型までのもの) | 6.9% |
8 |
大型液晶テレビ(27型より大きいもの) | 5.5% |
9 |
デジタルビデオカメラ | 4.8% |
10 |
家庭用ゲーム機(Xbox 360など) | 4.6% |
10 |
プリンタ複合機 | 4.6% |
最も人気の高かった商品群は「DVD/HDDレコーダー」で全体の18.5%。昨年の冬のボーナス期に各メーカーから新ブランドや新機能を搭載した商品が投入され、一気に人気が火がついた感がありましたが、今年はいよいよ普及期に入ったといえるでしょう。米国では「TiVo」の普及で、テレビ視聴のスタイルが様変わりしたと言われていますが、日本でも「DVD/HDDレコーダー」の普及で、テレビ番組を溜め録りし、あとでチョイスして見る、ということが一般的になりつつあるということ。テレビ業界の「ゴールデンタイム」なんて言葉は死語になりつつあるのかもしれません。
2位は「携帯電話・PHS」で15.7%の人が購入を考えています。買い替えサイクルの早い商品群なので、当然の上位ランクインですが、3位には携帯音楽プレイヤーが14.6%とほぼ同じくらいの支持を得ています。ケータイに音楽再生機能を搭載した機種がいくつか出ていますが、消費者には、片手にケータイ、もう一方の手には携帯音楽プレイヤーというモバイルデバイスの使い分けが、既にされているのかもしれません。
6位に目を転じると「ノートパソコン低価格機(18万円未満のもの)」が入っています。ランク外のその他のPC群(「デスクトップパソコン低価格機(〜15万円未満のもの)」、「タブレットPC」など)を合わせると、合計19.3%と「DVD/HDDレコーダー」を抑え、実質1位。とっくに普及期を過ぎたにもかかわらず買いたいという人が多いのです。低価格機でもそこそこのスペックを備えているのがあたりまえになったおかげで、気軽にサブマシンの購入、買い替えを予定している人が多いのでしょう。
今年後半話題になった、三浦展著「下流社会 新たな階層集団の出現」では、インターネットは低料金で楽しめるエンターテインメントの代表と位置づけられています。PC、ネット接続料の低価格化に加えて、無料動画配信サービス「Gyao」など、インターネット上の各種サービス無料化傾向のなかで、とりあえずPCとネットさえあれば何でも楽しめるというのが今の我々の社会なのかもしれません。
一方、7、8位には「液晶テレビ(27型までのもの)」(6.9%)と「大型液晶テレビ(27型より大きいもの)」(5.5%)が入っていますが、2つを足せば12.4%と、4位にランクインするポイントです。「DVD/HDDレコーダー」が1位であることと併せて考えれば、依然としてホームエンターテインメントの主役はテレビが担っているということが理解できます。IT企業がテレビ局との業務提携、統合を熱望するのもわかるデータです。テレビとPC、この2つが融合するのでしょうか?2006年はデジタルホームPCの出荷が本格化する動きもあり、目が離せません。
調査ではこのほか、購入したい具体的な商品名についても聞きました(複数回答可)。この結果は、予想どおり断トツでiPodが他の携帯プレイヤーを引き離しました。同じiPodシリーズでも人気なのはiPod nano(8.5%)で、1位を獲得。2位が動画再生iPod(4.9%)。ビデオを見たいというニーズはコンテンツがまだ少ないということもあり低いようで、これからに期待という状況のようです。
今年の冬、目玉となる商品があまりないなか、注目なのは次世代ゲーム機のマイクロソフト「Xbox 360」(2.5%)。来年発売が予定されているソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション 3」、任天堂「レボリューション(仮称)」の先陣を切っての登場ですが、調査段階では携帯ゲーム機の「PSP(プレイステーション・ポータブル)」(4.9%)、「ニンテンドーDS」(4.2%)を購入したいとしている人の方が多いという結果が出ました。「ニンテンドーDS」はゲーム・エンターテインメントの新たなコンセプトを提案し、大人から子供まで幅広い支持を得て成功していますが、「Xbox 360」については新しいゲームの在り方はあまり期待されていないよう。今後登場するゲームソフトなど注目しつつ、次世代ゲーム機の行く末を探ってみたいものです。
その他具体的な商品名では、シャープ「アクオス」(液晶テレビ)が8.6%、ソニー「スゴ録」(DVD/HDDレコーダー)が7.1%、キヤノン「IXY DIGITAL」(デジタルカメラ)が6.3%、ソニー「VAIO」(ノートパソコン)が4.0%と、ブランド浸透度の高い商品が高ポイントを獲得しました。これらの商品は同じ商品群のなかでも抜きん出た人気で、デジタル家電のコモディティ化において、ブランディングが重要であることを表していると言えます。
全体的にデジタル家電は普及期に入り、そのなかでもPCやデジカメなどのデジタル家電の先行商品は、買い替え需要期に移行しているようです。今回、例外的にシャープ「ヘルシオ」(ウォーターオーブン)のような白物家電についても調査したところ、1.8%とデジタル家電並みのニーズが判明しました。今後はこういった完成形と思われている白物家電を高付加価値化した「白物家電2.0」のような商品の登場にも期待したいところです。
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