ネットワーキング大手のCisco Systemsが、無線通信規格のIP Multimedia Subsystem(IMS)をサポートすることになった。これにより、携帯電話事業者らは、IPベースの新サービスを提供できるようになる。
Ciscoは米国時間5日、IMSを採用し、複数の製品をアップデートすると発表した。IMSは、携帯電話事業者コミュニティで開発された標準ベースの技術。同規格は、アーキテクチャとプロトコルを指定し、IPベースの各種サービスをワイヤレスネットワークで提供するために採用された。
Ciscoはこれまで、自社のネットワーキング製品スイートでIMS技術を限定的にしかサポートしてこなかった。同社は今後、「12000」シリーズのIPルータなど、さらに多くのデバイスで同技術をサポートすることになる。12000シリーズは、IPエッジルータの機能に、Session Initiation Protocol(SIP)やH.323などのプロトコルを使ってIPマルチメディアトラフィックをコントロール/管理するSession Border Control(SBC)デバイスを組み合わせたもの。同社はさらに、メディアゲートウェイ、ソフトスイッチ、PSTNゲートウェイ製品でもIMSをサポートした。
Ciscoの各種インフラ製品にこれらの強化が行われたことで、携帯電話会社は第3世代データネットワークにさらに多くの新サービスを追加できるようになる。現在、モバイルデータネットワークでは着メロのダウンロードやSMSテキストメッセージングなどのサービスが提供されている。ネットワークの容量が増えたことで、携帯電話事業者は、有線ネットワーク上で提供されるIPサービスをモバイル環境でも使えるようにしたいと考えている。SIPなどのIMS規格に含まれる各種プロトコルは、電話通信事業者らがこれらの新サービスを提供する場合に役立つことになる。
具体的には、IMSによってデュアルモード通話などのサービスが可能になる。これにより、Wi-Fiにアクセス可能なときはVoIP回線、そしてWi-Fiがなければ従来の携帯電話ネットワークと、ユーザーはどちらでも同じ携帯電話機を使えるようになる。IMS技術を採用するサービスとしてはほかにも、電話をトランシーバのように利用できるPush to Talkや、モバイルインスタントメッセージングなどがある。
インフラ製品ベンダーも、複数が自社製品にIMS組み込み始めている。携帯電話会社にインフラ機器を供給するLucent Technologiesは、IMSをサポートする一連の製品を用意している。しかし、IP機器の最大手であるCiscoが市場参入したことには、大きな意味がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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