日本広告主協会Web広告研究会は11月28日、2つの調査結果を発表した。1つは、約100万のブログを対象にした「ブログ書き込み調査」に関する研究結果だ。これは、Web広告研究会ネット・プロモーション委員会ブランド・プロモーション研究ワーキンググループ(リーダーはNEC宣伝部の吉見大輔氏)が、企業の製品がブログにどのように書かれているのかを質と量の両面から調査したものだ。
今回の調査は、製品名をキーワードとしてレッドクルーズ社の独自パターンマッチングによ抽出し、専門家によるセグメンテーションと分析を加えた。セグメンテーションはニュース/広告/体験・感動(ファン/ニュートラル/批判的)/日記としている。キャンペーンの存在がブログで取り上げられる件数や内容に影響を与えるかどうか、新商品とロングラン商品での取り上げられ方の差、同種製品の取り上げられ方のばらつきなどが調査された。
調査の結果、全体の傾向として新商品やキャンペーン発表直後にニュース系・広告系での書き込みが急増、ニュース系はすぐに下火になるが広告は徐々に減少するということがわかった。入れ替わりに体験・感想・感動系の記事が増加し、ロングラン商品は日常生活の中でのさりげない言及に移行していくという。ブログで言及される場合の取り上げられ方はポジティブな場合が多く、ファン的なものが7割近く見られた。これについては、掲示板などと違いブログでは読者と長い交流になるため非建設的・悪意的な誹謗・中傷に走りにくいのではないかと分析し、マーケティング活用の可能性が期待できるとしている。
キャンペーン後には体験・感想・感動系と日記系が増えるため、この増加の度合いから商品の根づき具合を測ることができ、獲得したファンをタイミングよく囲い込む動きが必要だとしている。また詳細な分析や評価するブログがある一方で、消費者の迷いが記事にされていることもあり、詳細なブログの情報がうまく伝わる仕組みがあれば企業や周囲の読者にとっても有益ではないかと指摘している。
もう1つの調査は「消費者メディア市場規模調査」で、Web広告研究会消費者メディア研究ワーキンググループがNielesen/Netratings(ネットレイティングス)の「家庭からのインターネット接続視聴率データ」を元にした調査結果だ。個人が情報発信できるウェブサイト(CGM:Consumer Generated Media)を個人サイト、掲示板、ブログ、SNSに分類し、2004年9月、2004年12月、2005年3月、2005年9月の4回データとって比較した。
調査結果によると、主要なCGMサイトの利用者や訪問者数は、2005年9月時点で2953万人で、前年同月の2658万人に比べて11%伸びた。特にブログの訪問者数は2014万人で前年同月比で約2倍、SNSに関しては約6倍に大幅増加した。
また、CGMへの1人あたり訪問頻度や平均利用時間は、企業サイトを大きく上回ると推定している。この1年でみるとCGM全体へのロイヤリティは高まっており、個人サイトへの訪問がブログにシフトしている傾向が読み取れるという。
利用者の特性をみると、ユーザーレビューの掲示板とSNSについては女性の比率が50%を超える。年齢構成では、SNSを利用する若い世代の比率が高く、29歳以下がほぼ半数を占めている。なお、CGMの流入元・流出先はいずれもYahoo!検索経由が多いという。
このほか、ウェブ利用全体に占める今回集計対象となったCGMの利用時間シェアは、2004年9月の10.9%から、2005年9月の13.3%へと着実に伸びている。
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