孫泰蔵氏が語る「オンラインゲームファンドの可能性」 - (page 2)

リスクを減らしてクローズベータで見極める

 オンラインゲームでは、すべて完成する前にベータ版としてユーザーに紹介するという特徴がある。オープンベータサービスとして、有料化する前にユーザーが体験できる機会を持たせることで注目を集められるメリットがある。しかし、ベータサービスでは収益は上がらず、有料化した途端にアクセス数が下がってしまうことがある。この下がり率が読めないとリスクは非常に高くなる。成功率をアップさせるには、この下がり率を読めるようにすることだと孫氏は述べた。

 「ベータサービスではシステム面のテストだけでなく、ユーザーの反応を読むこと。そしてクローズベータの段階でヒットを見極めること。それを実現するには、パブリッシャーが初期段階で費用を負担することが重要だ」

 リスクを減らしていくには、運用ソースのレンタルなどを活用し、コストをうまく削減していくこと。オンラインゲーム会社のソーシングモデルとして、リスクマネージメントの効率を上げ、ユーザーに合わせて柔軟に行っていかなければならないと孫氏は語った。

今後のオンラインゲームファンドの役割とは

 オンラインゲームファンドを運営していくには、投資の目利き基準が必要だと孫氏は述べた。最低の共通品質基準を設けることで、投資家への指標ができる。さらに、過去の作品が事例となり、開発者へノウハウを提供することができる。

 講演の最後、孫氏はオンラインゲームに特化したソフトバンクグループの投資ファンドである「モビーダ・インベストメント」を紹介し、総額100億円を用意してPC、携帯電話、また紙媒体などトータルで楽しめるゲームのプラットフォームを作っていくことを宣言した。同時に、世界中に進出していけるゲームを支援していきたいと参加者に呼びかけ、講演を締めくくった。

オンラインゲームファンドの契約スキーム

 水戸氏の講演では、オンラインゲームファンドの契約についての具体的なスキームが紹介された。ここ1〜2年に登場した「コンテンツビジネス事業振興政策」によって、オンラインゲームファンドのスキームが多様化してきている。水戸氏は参加者に向けてローン、投資など、さまざまな契約スキームを紹介し、ファンド法(投資事業有限責任組合法)とLLP法(有限責任事業組合法)について大きく取り上げた。特徴としては、ファンド法は純投資に向き、LLP法は共同事業に向いている。

 水戸氏は現状のファイナンスの障壁として、産業構造が複雑で未成熟な点、契約書の不存在を指摘し、コンテンツファイナンスを成功させるには、これらの障壁を克服できるかがキーとなるのだと参加者に向けて現状の問題点である業界の慣習・ムラ社会への改善の必要性を説いた。

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