Microsoftは、Office 12のファイルフォーマットを欧州の標準化団体ECMA Internationalに提出する意向だ。Microsoftでは、こうした取り組みを行うことで、同社がドキュメントフォーマットの支配権を独占的に握っているとの懸念を緩和したいと考えている。
デスクトップ生産性ソフトウェア市場で圧倒的優位を誇るMicrosoftは、12月初めにも、Office 12ファイルフォーマットの技術仕様をECMAに提供する。ECMAは、IntelやApple Computer、NextPageのほか、British Petroleum、British Libraryなど欧州ユーザーの後援で構成される技術委員会。
同フォーマットを基にして完全にドキュメント化された標準は「Microsoft Office Open XML」と呼ばれ、その完成には約1年かかると、同社の幹部は話している。Microsoft Office Open XMLを標準仕様として承認した場合、ECMAは次に同仕様のISO(International Organization for Standardization)における標準化を目指すことになる。ISOは、特に政府機関ユーザーの間で影響力を持つ標準仕様だ。
MicrosoftのInformation Worker戦略部門ゼネラルマネージャAlan Yatesは、「標準をオープンな規格に変更することで、技術に対する一定の信頼が確保され、ユーザーは自信を持ってこれを利用できるようになる」と話す。「今回の取り組みは、閉鎖的なドキュメントフォーマットの終焉を告げる転換点だったと、人々が見なす日が来ることを願っている」(Yates)
スイスのジュネーブに拠点を置く標準化団体ECMAは、標準仕様や勧告を策定している。Microsoftは、プログラミング言語「ECMAScript」や「C#」などのプログラミング言語も、ECMAに標準仕様として提出している。
標準化への取り組みの一環として、同社はライセンス体系を刷新し、開発者がそうしたファイルフォーマットで作業する際にぶつかる「ほぼすべての障害」を取り除こうとしている。
Microsoftは、「Office 2003」のXMLドキュメントフォーマット仕様をすでに策定し、ロイヤリティを支払わなくても利用できるようにしている。2006年末までに完成すると見られるOffice 12では、ファイルをデフォルトでOpen XMLフォーマットで保存することになる。
長期間記録を保管する必要のある政府機関をはじめ多くのユーザーが、最適なドキュメントフォーマットを策定するようMicrosoftに求めてきた。Microsoftによれば、これらの技術仕様を利用することで、ユーザーはドキュメントを複数の異なる製品で確実に読めるようになるという。
現地時間21日には、British LibraryがMicrosoftの今回の取り組みを評価する声明を出している。
British Libraryのe-Architecture部門責任者Adam Farquharは、「今回の動きは文書のデジタル保管に向けての重要な一歩で、未来の世代がBritish Libraryのデジタルコレクションを閲覧できるようにするという、わたしたちの中核的業務の遂行を助けるものだ」と、声明の中で述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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