約1年ほど前に、巨大地震と津波がインドネシア沿岸やインド洋のその他の場所にあるサーフスポットを襲った際に、「Surf Aid International」を率いるAndrew Griffithsは、自分たちの組織が迅速に行動しなければならないことを理解していた。
Griffithsはすぐに他の5人の理事会メンバーと電話会議を行うことにした。この時、GriffithsはSan Diegoのオフィスにいたが、他のメンバーはそれぞれ米国やオーストラリア、ニュージーランドの各地に散らばっていた。
「このような災害が発生した直後には、組織として下さなければならない難しい判断が数多くある」とGriffithsは述べている。同氏が最高責任者を務めるSurf Aid Internationalは、世界中のサーフィンを主体にした観光スポットで、人道上の支援と医療サービスを行うために設立されたNPO団体だ。
同団体は、映画『初体験/リッジモント・ハイ』でサーファーの典型として描かれたJeff Spicoliのような無計画な行動を防ぎ、組織的な判断を下すために、ある開発中のソフトウェアパッケージに採用された、優先順位付けのための効率的な方法を用いた。その方法とは、「停止」を意味する赤信号、「進め」を意味する緑信号、それに「条件付きの進め」を意味する黄信号を使い分けるというものだった。
このシンプルな方法は、長年にわたって実践されてきた一連のプロジェクト管理プロセスでも使用されており、Surf Aid Internationalの理事会メンバーであるMiles Walshによって開発されていた新しいソフトウェアの基礎ともなるものだった。
Walshは30年以上の経験を誇る熱心なサーファーだが、同氏は全世界で行われるビジネス関連プロジェクトの97%以上で納期遅れや予算超過が発生しているという、PricewaterhouseCoopersが昨年実施した調査の結果に驚いたと述べている。
Macromediaのバイスプレジデント、そしてウェブ広告会社Flycastの最高経営責任者を務めたこともあるWalshは、プロジェクトの立ち上げ方法と収束方法を人々が段階を踏んで学べるようにするため、自らのビジネスプロセスを製品化することに決めた。同氏は2004年10月に、San FranciscoでGreen Arrayという会社を旗揚げし、2005年9月には開発したソフトウェアの出荷を開始した。
昨年のインド洋大津波の発生時には、このソフトウェアはまだ使用可能ではなかったが、Surf Aid Internationalは、その製品の基礎となっているプロセスを用いて津波被害者を支援した。
Surf Aid Internationalの理事会は、同団体が本来の活動の範囲を超えて救援活動を行うことと、医師を手配し精神的に痛手を受けた人間をケアさせることに緑信号を出し、また医師に伝染病の予防措置を取らせることや、マラリアのコントロールや麻疹の予防注射だけに作業を限定すること、ビタミンAを配布することなどには、条件付きであることを示す黄信号を出した。
後にこの理事会は、Niasに医療チームを派遣することにも緑信号を出した(Niasは北スマトラから約78マイルほど離れたところになる離島)。また、リソースが許せばこの活動範囲を他の島々にも広げることには黄信号を与えた。
Surf Aidはシンプルな意志決定方法を利用して、時間を節約し、集中力を維持し、関係者全員に決定事項の内容が確実に伝わるようにしたことで、コミュニケーションの問題が自分たちの取り組みの足を引っ張らないようにした。
「この団体のメンバーは世界のいろいろな場所におり、それぞれの時間帯も異なっている。そのためシンプルなプロセスを導入していつも全員の歩調を合わせおくようにすることが必要だ」とWalshは言う。「医師らは36時間以内に現地に到着」し、災害直後の重要な期間に、津波の被災者らへの医療活動を行うことができたという。
現在約300の企業や組織がGreen Arrayのソフトウェアを導入している。このソフトウェアには、リソースプランニングや調査用ツール、重要なタスクを含むプロジェクト管理ツール、文書管理ツール、ワークフロー管理ツール、電子メールと統合されたコラボレーション用ツール、プロジェクトの進捗状況や優先順位、完了度合いを示すダッシュボードなどが含まれる。
なお、このソフトウェアの利用料は月額20ドルとなっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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