デジタルシネマの上映システムが価格破壊の500万円--映画館の収益向上も - (page 2)

別井貴志(編集部)2005年11月08日 21時17分

 さらに、片山氏は「価格面だけではなく、事実上の独占にある米国製のシステムにはない性能も盛り込んだ」と強調した。

 その特徴としては、まず地上デジタル放送やBSデジタル放送のHD規格に準拠した映像規格を採用している点がある。邦画の半数はテレビ局がプロデュースして制作しており、放送(テレビ番組)と映画の撮影や制作でHD化が進んでいる現状を踏まえると、HD規格に対応したシステムだと扱いやすいというわけだ。

 次に、映画の本編前後に映される広告・宣伝の「シネアド」に対応しているのも特徴だ。米国製のシステムでは、本編はデジタルシネマプレイヤーで映写し、シネアドはPCを使って運用されている。シネアド機能を搭載したデジタルシネマプレイヤーは世界初で、「フィルムによる映写ではシネアドの内容を頻繁に替えることは不可能だったが、いつでもタイムリーに内容を替えることができる」(片山氏)と言う。さらに、映画館にとってはデジタルシネマを導入したからといって料金を値上げするわけにもいかないが、「自由に内容を替えられるシネアドにより、映画館の広告収入の向上が見込める」(同)とプラス面を訴えた。

 3つめの特徴としては、映像コンテンツの暗号化がある。米国製のシステムが盗難防止だけのための機能であることに対して、Hommageではそれだけではなく、配給元で上映可能期間や上映可能回数などを設定できる。つまり、予想外に人気が出たからといって、配給元に断らずに勝手に映画館側が上映期間を延長するといったことが不可能になる。なお、映像コンテンツの配布は、当初リムーバブルハードディスクそのものを運搬することを想定している。

 4つめの特徴としては、字幕の生成や表示が容易なことだ。DCIの規程では、映像コンテンツを改編することは許されていない。これは、字幕にも適用されるので、映像コンテンツそのものに字幕を入れ込むことはできないのだ。そのため、字幕と映像コンテンツを別々に用意して、プレイヤーで再生する際に合成する仕組みを採っている。

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Hommageのシステム構成。映像コンテンツの配布は、当初はネットワークを経由せずにリムーバブルハードディスク自体を運搬する

 Hommageは、フライトシステムコンサルティングを含めた3社の協業プロジェクトだ。2006年1月に同社の100%子会社となる山下電子設計がJPEG2000の技術開発などを担当し、子会社化後はデジタルシネマに関するコアカンパニーとなる。また、10月4日に業務提携したプロメディアワークスがシネアドや字幕機能を担当しており、CGの描画エンジンは独自開発のGOAをベースにしたものが使われている。

 片山氏は「将来的にはHommageの映像をアップルのQuickTime技術を使って家庭へ配信するなど、ホームシアターも視野に入れている」と展望しているほか、H.264へ変換して携帯電話向けの映像配信インフラも考えている。

 なお、DCIでは最高水準の4K(4096×2160ドット、約800万画素)が推進されているが、Hommageでは2K(2048×1080ドット、約200万画素)となっている。片山氏は「4Kのプロジェクターはソニーとビクターのみが販売しているが、液晶ベースなのでデジタルライトプロセシング(DLP)に対応したプロジェクターとしてはDCIから認定されていない。それよりも、4Kだとさらにシステムが高額になってしまうので導入できる映画館が限られる」とした。山下電子設計では、すでに4Kについての開発や技術検証は終了しているが、そうした理由から市場投入は見送っている。

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