Intelが65ナノメートル(nm)製造プロセスを利用したプロセッサの生産を開始した。今月に入って幾分厳しい話題が続いていた同社にとって、これは久しぶりに明るいニュースだ。
Intelでは、2〜3週間前からデスクトップPC向けプロセッサ「Presler」の量産を開始し、現在PCメーカーへの出荷を進めていることを、同社広報担当のJohn Caseyが明らかにした。Preslerは新デザインを採用したデュアルコアプロセッサで、同チップを搭載したPCは来年登場することになっている。
65nm製造プロセスでつくられるノートPC用デュアルコアプロセッサ「Yonah」の量産は、今年中に開始されると、同氏は付け加えた。さらに、」2006年第3四半期までには、65nmのプロセッサが90nmのプロセッサの数を上回る、いわゆる「クロスオーバーポイント」に達する。
プロセッサの設計や新しいコンセプトのほうが話題になりやすいが、製造プロセスは半導体メーカーの浮沈を左右する重要な要素であり、Intelが成功を収めているのも、同社が絶え間なく製造プロセスの改善を続けているところが大きい。
65nm製造プロセスで生産されたプロセッサには、平均で65nmのサイズのトランジスタが積まれている。この「ナノメートル」という単位は、古代ギリシャで「小さいもの」を意味する「ナノ」という言葉から来ている。1ナノメートルは10億分の1メートルで、人間の髪の毛1本の直径は約9万ナノメートルにあたる。
現行のプロセッサは、90nmプロセスで製造されている。このサイズを縮小することはコストの削減につながるが、その理由は単一のウェハからとれるプロセッサの数が増えることによる。また同時に、パフォーマンスの向上も見込める。半導体メーカーは、この製造プロセスの「シュリンク(微細化)」をさらにすすめ、トランジスタ数を増やし各種機能を詰め込むことができる。現在では無線通信を行うために複数の独立したチップを内蔵する必要があるが、数年のうちには、単一のプロセッサ上に1つの機能として簡単にまとめられることになるだろう。
Intelは以前、65nmプロセッサの生産を2005年より行うと述べていた。だが新プロセスへの移行は予定通りに進まないことが多く、そのため予定通りに移行が進むだけでも金融関係者やPCメーカーらにはとっては安心材料になる。
「65nmプロセスへの移行は予定通りに進まないと考えていた人が、今年にはじめにはすでに現れていたが、そうした考えが誤りだったことが証明された」と、米VLSI Researchの最高経営責任者(CEO)Dan Hutchesonが、最近発表したレポートの中で述べている。
最初の65nmプロセッサは、オレゴン州にあるIntelのD1Cファブから出荷されることになっている。この施設は研究開発拠点として利用されているところだが、かなりまとまった量のプロセッサを生産することも可能だ。2006年には、アリゾナ州、アイルランド、オレゴン州の3つのファブでも65nmでの生産が開始されることになっている。
Intelにとって、10月は浮き沈みの激しい月だった。同社は先ごろ、多数のItaniumチップの発売を先送りし、Xeonチップのロードマップを大幅に見直した。また、 Mercury Researchは第3四半期にAMDがIntelからシェアを奪ったとするレポートを発表していた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向 けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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