国境でバイオメトリクス(生体認証)技術が使用されるケースが増加する中、旅行者が共通の手続きを踏むことにより各国に入国できるようにするための機関の設立を求める声が高まっている。
バイオメトリクスの専門家らは、バイオメトリクス技術の配備状況を監視する国際標準機関を設置し、多くの国々で同技術が可能な限り効果的に配備されることを保証する体制を整えるよう求めた。
International Biometric Foundation(IBF)のJulian Ashbourn会長は20日、ロンドンで開催されたBiometrics 2005カンファレンスで講演し、「プロセスの同等化」により、旅行者は別の国に入国する際に同種の手続きを踏めば国境を通過できるようになる、と語った。
「現在、各国のデータポリシーの同等性はどの程度か。各国のプロセスの同等性を保証するための国際機関が必要だ。」(Ashbourn)
Ashbournさらに、世界各国がバイオメトリクス分野で協力することにより、処理時間の短縮や、ミスを犯したり個人が誤って拘束される機会の削減が可能になる、と主張した。
プロセスの共通化によって、同様のバイオメトリクスシステムを導入する国家間の情報共有が容易になり、それにより、新たに設置される国際機関は、各国がバイオメトリクスデータを提供する方法および対象の監視/制御が可能になる。
国際的な力を持った機関を設置することにより、「各国政府がどのような情報を共有しているのか。私のデータを共有する相手は誰か、そしてその理由は」という質問の全てに対処する必要がある、とAshbournは主張する。
また政治体制が異なる国を訪問した旅行者が、入国前のバイオメトリクス身元確認を怠ったことを理由に、国によって異なる罰則が課される恐れもある、とAshbournは警告する。
「仮に私が国境でバイオメトリクス身元確認を怠った場合、穏やかに質問される程度かもしれないし、手錠をかけられ、独房に三日間監禁されるかもしれない」(Ashbourn)
三日間の日程で開催されたBiometrics 2005カンファレンスでは、米国土安全保障省でUS-VISITプログラムの副責任者を務めるRobert Mocny,も講演を行なった。同氏は、バイオメトリックの使用を監視する国際機関の設置を要求しているAshbournに賛同した。
Mocnyは「現在はそのような機関は存在しないが、間もなく設立されるだろう」と述べ、さらに「EUがバイオメトリックパスポートの使用を開始し、他国も追随すれば、調整役が必要になる」と付け加えた。
米国税関・国境警備局はすでに指紋スキャンという形でバイオメトリックID技術を使用している。米国内のバイオメトリックデータは分散型データベース内で照合されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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