主要なWi-Fiチップメーカー各社が米国時間10日、新しい高速Wi-Fi標準策定への取り組みを加速させるべく、新しい業界団体の結成を発表すると、各社の動きに詳しい情報筋が述べている。
この情報筋によると、Intel、Broadcom、Marvel、Atherosの各社は、新しい802.11n標準のドラフト作成に関し、IEEEのプロセスを避け独自に作業に取り組むという。各社はこれまで、このドラフトをIEEEの作業グループに提出する計画だった。
同団体の目標は、2つの陣営による政治的な内部抗争で遅れが生じているIEEEの標準策定プロセスを加速させることにある。しかし、同団体の結成により、技術コミュニティの分裂がさらに拡大することになりそうだ。
新標準は「MIMO(Multiple-Input/Multiple-Output)」と呼ばれる技術をベースにしたものになる可能性が高い。MIMOを利用すれば、無線LANのスループットを300Mbps以上まで一気に引き上げられる。これに対し、今日利用されている802.11aと11gの両標準が実現しているスループットは実質で20M〜24Mbps程度だ。
MIMOでは、同じ802.11の無線チャネルに、2つ以上の異なる信号を一切の干渉なく同時に転送することが可能になるため、今日の標準転送技術で利用可能な周波数帯を使って、より多くのデータを送信できるようになる。
ここ数カ月、標準化への取り組みは2つの大きな陣営に分裂していた。このうち、「Task Group 'n' Synchronization(TGn Sync)」と名乗る陣営には、Intel、Atheros Communications、Nortel、Samsung、ソニー、Qualcomm、Philips、松下電器が参加。一方、Airgo Networksが率いる「World-Wide Spectrum Efficiency(WWiSE)」には、Broadcom、Motorola、Nokia、France Telecom、Texas Instruments(TI)、NTTの各社が支持を表明していた。Airgoは、MIMO技術を採用したチップを現在出荷している唯一のベンダーだ。
TGn Syncの提案がプロセスを先へ進めるために必要な数の賛成票を集められなかったことから、新標準の策定作業は今年に入って行き詰まってしまった。それ以来、両陣営のメンバーは新しい共同提案の策定に取り組んできていた。
新しい提案の最初のドラフトは、11月に行われるIEEEの会合に提出される見込みで、詳細なドラフトも1月の会合に提出される予定となっている。すべてが順調に進めば、新しい標準は2007年初頭にも批准されることになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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