Yahooの最高経営責任者(CEO)Terry Semelはウェブ関連のあるイベントで、21世紀におけるメディア企業のあり方や、YahooでのGoogleとの闘い、共産主義国家でのビジネスのやり方など、さまざまなテーマについて自身の考えを披露した。
Yahoo、Google、MSN Searchなどの後援で開催された「Web 2.0 Confernce 2005」において、Semelは、Yahooが技術的バックグラウンドをもつ新種のメディア企業として、従来のメディアコンテンツだけでなく、ユーザーの手による新しいタイプのコンテンツの配布に寄与し、ネットの双方向性を促進してきたと述べた。
同イベントで開催されたセッションのなかで、同氏は「20世紀のメディアでは、コンテンツとその配布に話が終始していた。しかし、今のメディア企業は、技術に根ざしていなければ成立しない」と述べた。
「わたしは、Yahooが、21世紀の技術企業としてメディアを先導する役割を担っていると考えている。(Yahooでは)将来のインターネットにふさわしいコンテンツが何なのかをデザインしていく意向だ」(Semel)
Yahooは、インターネットポータルの立ち上げ当初、報道機関や通信社などの提携先メディア企業からライセンス提供を受け、コンテンツを収集し始めた。「Yahoo News」や「Yahoo Finance」は、ニュースや金融情報を配信するウェブサイトとして大変な人気を集めるようになった。
そしてYahooは2005年に入り、コミュニティベースのコンテンツを利用することに懸命に取り組むようになった。これらのコミュニティで共有されるコンテンツを作成しているのは個人ユーザーだ。Yahooはブログサービスの「Yahoo 360°」を公開したほか、写真共有サービス「Flickr」を買収。また今週には、イベント情報カレンダーサイト「Upcoming.org」の買収を発表した。
Yahooは先頃、コラムニストや著名なジャーナリストとも、自社サイト向けに記事を執筆してもらう契約を交わしている。
同社は今後、これまでコンテンツを提供してきたパートナー企業とも、複数の分野で競争することになるだろうと、Semelは述べた。例えば、Yahooユーザーが旅情報を収集する際、旅行情報サイトの「Expedia」よりも、オンラインソーシャルネットワークに所属する他のメンバーからの推薦情報を頼りに休暇中の旅行先を決めるかもしれない、というのである。
Googleとの競争に勝ち抜くための戦略として、Semelは、検索技術の向上に一段と力を入れることと、4億人ものユーザーが利用するサービスやコンテンツの幅を広げることを挙げた。
ユーザー数はYahooに及ばないものの、Googleが「Gmail」などのさまざまなサービスのベータ版を展開していることについて、同氏は「(Googleは)ポータルのような雰囲気を帯びてきた」と述べ、「彼らをポータルとして評価すると、おそらく4番手くらいになるだろう・・・Yahooのモデルの方が多角化されている」と付け加えた。
中国政府が国家機密情報漏洩の罪でジャーナリストを逮捕した事件で、Yahooは、逮捕の手がかりとなる情報を中国政府に提供したとして非難を浴びた。この件についてコメントを求められたSemelは、中国だろうがどこだろうが、海外でビジネスをする企業は、現地の法律に従わなければならないと述べた。
「この問題には、モラルと法律の2つの側面がある・・・個人的には、この事件のことを考えて心を痛めることもある。だが、中国に住む人はみんな、現地の法律を理解している。また、現地の企業もみな法律を理解している」(Semel)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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