ある公益団体が、Microsoftの保有するWindowsファイルシステム関連特許の取り消しを請求していた件で、米政府当局は先週この特許の再審査を行うと発表した。
公益団体のPublic Patent Foundation(PPF)は4月に、FAT(File Allocation Table)ファイルシステム関連でMicrosoftが保有する特許1件について、米国特許商標庁に取り消しを請求した。これは、Windowsがファイルの保存に利用する2つの主要システムのなかで古い方にあたる。 Microsoftは昨年、同社の知的財産を業界各社と共有するためのより包括的な取り組みの一環として、FATファイルシステムを妥当な条件でライセンスする意向を明らかにしていた。
FATファイルシステムは一般的なファイル保存方法として、パソコンのみならず、デジタルカメラなどの機器で使われるリムーバブルフラッシュメモリでも利用されている。またオープンソースのSamba(LinuxやUnixコンピュータとWindowsコンピュータの間でデータ交換を行うソフトウェア)やLinux自体も、Windowsマシン上のハードディスクのファイルを読み書きするのにFATファイルシステムを利用している。
Microsoftに対しては、Linuxが同社の特許を侵害していると主張し、特許使用料を請求するのではないかと懸念する人々もいた。Linuxは一般公衆利用許諾契約(GPL)に基づいており、特許使用料の支払いが必要な特許技術を含むものは配布できないため、FATの特許使用料がごくわずかであってもLinuxにとっては大きな問題となる可能性がある。
PPFは、特許再申請を歓迎する声明を発表した。
同グループの創立者であるDan Ravicherは、この声明のなかで、「特許商標庁が、MicrosoftのFAT特許に対するわれわれの再審査要求を受け入れたことに、非常に満足している。これは、本来認められるべきではなかった特許によって、一般に被害が及ぶのを終わらせる、最初のステップだ」と述べている。
一方、Microsoftは11日(米国時間)、同社はこの特許の有効性を確信していると述べた。
「われわれは現時点で、このファイルシステムに関する革新技術が、特許の保護を受けるに値することを示すチャンスを手にしている」とMicrosoftの知的財産/ライセンスグループディレクター、David Kaeferは声明を発表。「米特許商標庁が再審査要求を認めることはしばしばある。それは、特許のクオリティの高さを保証するための重要なメカニズムだ」(Kaefer)
今回のような第三者による再審査要求は、当該特許の範囲縮小もしくは完全な無効化に70%の割合で成功している、とPPFは指摘している。一方、米特許商標庁の統計によると、無効と判定される特許は約12%で、58%が範囲縮小、30%が現行維持になるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」