Apple Computerが米国時間9月7日に発表した音楽プレイヤーは2モデルとも、iPod miniより小型でありながら、これまで以上に製造コストがかかっていることが感じられる製品となっている。
iPod nanoでは小型ハードディスクではなく、フラッシュメモリが採用されている。この変更により、iPodの製造コストは高くなったはずだと、アナリストらは述べる。
SemicoとiSuppliの両社によると、フラッシュメモリ1Gバイト当たりの大口販売価格は45ドル程度だという。したがって、199ドルで販売される2GバイトモデルのiPod nanoには約90ドル相当のフラッシュメモリが、249ドルの4Gバイトモデルには約180ドル相当のフラッシュメモリが搭載されていることになると、SemicoのJim Handyはいう。
「仮に(1Gバイト当たり)40ドルで契約していたとしても、4Gバイトモデルには160ドル相当のフラッシュメモリが搭載されていることになる」(Handy)
iSuppliのNam Hyung Kimによると、容量が同じであれば、フラッシュメモリの半分程度の価格で、同じ容量の小型ハードディスクを入手できるという。つまり、ハードディスクを利用する方が、フラッシュメモリを利用するより、安い価格で大きな容量のプレイヤーを提供しやすいのである。その一方で、フラッシュメモリには、パフォーマンスが高く、スペースも取らないという利点がある。
フラッシュメモリの分野では記録密度の向上とともに、その価格が下落していることから、今後はさまざまな用途において、フラッシュメモリがハードディスクに取って代わるようになるだろうと、予測する専門家もいる。だがその一方で、ハードディスクも同様の速度で価格を下げているうえ、フラッシュメモリをしのぐスピードで大容量化していると、指摘する人もいる。もっとも、フラッシュメモリやハードディスクの大手メーカーは、赤字を出してでもこれらを販売しようとするきらいがある。
Appleは、フラッシュメモリのサプライヤー(Kimらは、これがSamsungだとしている)から、大幅な値引きを引き出したものと思われる。だが、仮に安くフラッシュメモリを仕入れられたとしても、その価格は、ハードディスクより高いはずである。Kimによると、Samsungは第2四半期に、フラッシュメモリで約45%の利益率を確保していたという。この情報から考えると、Samsungは今回、ハードディスクと同じ程度の価格か、原価、あるいは原価以下の価格で、フラッシュメモリをAppleに提供した可能性がある。
Samsungをはじめとするフラッシュメモリメーカーは赤字を出してでも、Appleのような顧客に製品を提供したがるだろうと、Kimは述べる。現在、フラッシュメモリは供給過剰状態にあるため、在庫を消化してくれる顧客はありがたい。また、これまで45%という利益幅を確保してきた実績も、Samsungにとっては大きな自信になっているはずである。
Kimはまた、「Samsungが将来、フラッシュメモリの価格を引き上げる可能性がある」と述べる。その理由として同氏は、競合メーカーがSamsungと同じだけの製造数をまかなえない点を挙げたほか、「もはやAppleは、ハードディスクに戻れないだろう」とも述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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