コピー自由の無料音楽配信サービス「mF247」が12月に開始

永井美智子(編集部)2005年08月18日 21時46分

 レコード会社のに・よん・なな・みゅーじっく(247MUSIC)は8月18日、楽曲を無料で提供する音楽配信サービス「music forecast 247(mF247)」を12月に開始すると発表した。新人のアーティストの楽曲を中心に提供する。

 楽曲は原則無料で、アーティストが有料を希望する場合は1曲99円となる。コピー防止技術はかけず、CD-Rやポータブルオーディオプレイヤーへのコピーを自由にしている。

mF247は「壮大な実験」と話す丸山氏

 ソニー・ミュージックエンタテインメントの元代表取締役社長で、現在は247MUSICの代表取締役を務める丸山茂雄氏は、mF247を開始する理由について「沖縄で発掘したアーティストを東京で売り込もうとしたとき、ヒットチャートを重視する既存のマスメディアでは、なかなか新人の楽曲を紹介してもらえないことに気が付いた。逆に、リスナーから見れば新しい音楽を聞くチャンスがなくなっているということだ。そこで、両者を結びつける新しい仕組みが必要だと考えた」と話す。

 しかし、楽曲をインターネットで無料配信することに、業界からの反発はないのだろうか。丸山氏は、アーティストにとってはまず楽曲を知ってもらうことが必要であり、まず音楽を「情報」として伝えることが重要だと話す。

 「その音楽を気に入った人にとって楽曲は『作品』だが、気に入らなければ単なる情報として忘れられてしまう。しかし、いずれにしても楽曲を聞いてみないことには良いかどうかはわからない。広く知ってもらうために情報としてリスナーに提供している間は無料とし、気に入る人が多くなってくれば有料にすればいいのではないかと考えた」(丸山氏)。なお、楽曲を有料化する時期は、楽曲を提供するアーティストが自由に決められる。

 mF247の主な収益源は、アーティストが楽曲を登録する際に支払う楽曲登録料と、人気のある楽曲を集めたコンピレーションアルバムの販売だ。楽曲登録料は1曲1万円(ただし2曲目以降は1曲1000円)となっている。ただし、「mF247は収益よりも新人アーティストの発掘やプロモーションという位置付けだ」(247MUSIC)としており、mF247で大きな収益を上げることは狙っていないようだ。

 mF247では247MUSICに所属していないアーティストでも楽曲を公開できる。1度に登録できる楽曲は3曲までで、未公開のもの、またはインターネットで配信できるよう著作権処理された楽曲に限られる。

 丸山氏は歌謡曲やジャズなど、現在のヒットチャートにでてこないジャンルの楽曲のほか、アニメや映画、ゲーム用に作られた楽曲で、作品がヒットしなかったために知られていないものなどが集まることを期待しているとした。

 サイトの主なターゲットは、丸山氏によると「プロミュージシャン、アマチュアミュージシャン、元アマチュアミュージシャン、挫折ミュージシャン、友達がミュージシャン」といった音楽のコアファン層だという。「例えば30代くらいの『挫折ミュージシャン』は内心に熱い音楽魂を持っていて、日頃接するテレビの音楽番組に不満を持っている。そういった人はmF247のような仕組みがあれば、いい音楽を探してくれるだろう」(丸山氏)

 mF247では、著名アーティストの新曲も提供する。ムーンライダーズ、佐久間正英などが参加する見込みだ。また、予約数が一定量を超えた時点でCDを制作・販売する「ディスクギャザリング」や、ライブを開催する「ライブギャザリング」、著名アーティストなどがお勧めの楽曲を紹介する「ネットジョッキー」制度などを導入する。楽曲のダウンロード数をもとにしたランキング「mFチャート」や、ポッドキャスティングに対応したネットラジオ局も用意する予定だ。

mF247の画面イメージ
mF247のトップ画面のイメージ。中央にはランキングが表示され、右には著名アーティストらがお勧めの楽曲を紹介するコーナーが設けられている

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