米国特許商標庁(USPTO)が、しばしば槍玉にあげられる電子特許出願プロセスの見直しを計画している。同庁関係者が12日に明らかにしたところによると、まず、今年12月にウェブベースの新システムのベータテストを行ない、2006年3月に本格稼動させる予定だという。
特許局長代理のJohn Dollは、同庁の新庁舎で行なわれた「Independent Inventor Conference」で講演し、USPTOが現在ウェブ上で受理している特許出願は全体の2%弱で、今年は7000件強だが、同庁はこの数をさらに増やそうとしていると語った。
特許出願件数が増加し続けていることから、USPTOは現在審査を継続中のおよそ85万件の特許出願の処理を急いでおり、特許出願手続きの電子化の促進もその取り組みの一環である。同庁は最近、1年半かけて2億5000万ページの紙の記録をデジタル化した(現在、紙の出願書類は到着後数日以内にスキャンされている)。またDollによると、同庁は今年950人の審査官を新規に採用し、「作業の遅れを取り戻すまで」以後数年間、毎年1000人以上を採用する予定だという。
現在、出願者の大半は、昔ながらの方法で出願書類を送付している。特許副局長のMargaret Focarinoによると、USPTOは「翌日配達郵便の受領件数が世界で最も多い」という。
USPTOは、かなり前から出願手続きの電子化について検討しており、1999年に実施したパイロットテストで初めて電子形式の出願書を導入した。
現在の電子出願システムでは、出願者は5種類の独立したソフトウェアをダウンロード/インストールする必要があり、総容量はおよそ51MB(メガバイト)に達する。さらにその後も、多段階からなる複雑な手続きが待っている。出願者はオーサリングソフトを使って自分の発明について説明した書類を作成しなければならず、さらに、出願手続きを続けるために、それらのファイルを別々のプログラムにエクスポートしなくてはならない。
システム要件によると、そのソフトはWindows 2000またはWindows XPとInternet Explorerを搭載したコンピュータでしか動作しないという。しかし、外部のソフトを使用して出願書類を作成すると、USPTOがそれらを読み取れない可能性があると、同庁はウェブサイト上で警告している。
DollはCNET News.comが行なったインタビューの中で、既存の電子出願システムについて、「煩雑」「極めて難解」「恐ろしい」などと酷評した。
これに対し、新システムは「使いやすいウェブベースのポータル」になるという。すなわち、ユーザーはソフトをダウンロードするのではなく、USPTOのウェブベースのデータベースにログインし、同庁のサーバ上で全ての作業を完了し、準備が出来次第それを提出するという仕組みだ。また、このシステムを通じて同庁のサーバに保存した出願内容を他の人々に配布することも可能だという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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