Arcangeliは、注意すべき重要な点があると話す。それは、多くの場合、新しいデータをメモリにあらかじめ読み込むことは既存のキャッシュを捨てることを意味するということだ。
「これは全くマイナス面がないやり方ではない。それなりの見返りはあるかもしれないが、システムを高速化するどころか、実際には減速させる可能性もある」(Arcangeli)
データが必要になる前に、それをメモリに読み込むという一般的な考え方は新しいものではない。Windows XPではすでに、大半のユーザーが必要とすると思われる一般的なシステムリソースの一部を先に読み込むようになっている。また、Linuxはあるページがリクエストされると、1ページ余分に読み込む仕組みになっている。
しかし、SuperFetchでは、こうした先読み機能にパーソナライゼーションの要素が加味されている点が新しい。また、Aulによると、MicrosoftはVistaを融通の利かないものにはしないつもりだという。そのため、いつもは職場のノートPCでSAPやOracleを動かすユーザーが2週間の休暇を取った場合、Windows Vistaはこの変化を早急に察知し、ゲームやDVDプレイヤーをメモリに読み込むようになるという。
起動時に立ち上がるプログラム類も、マシンの速度を低下させる要因の1つだ。Microsoftが5000人のユーザーを対象に実施した調査によると、平均でPC1台あたり29種類のプログラムが起動時にシステムトレイに読み込まれていたという。「これらのプログラムは溜まる一方で、平均を大幅に上回るケースも多く見られた」(Aul)
プログラムを高速に起動させることは、MicrosoftがWindows 98の開発時から取り組んできたものだ。
Microsoftは、Vistaにシステムのパフォーマンスをチェックできるコントロールパネルを搭載する予定だ。Aulによると、コンピュータの「新品時の優れた使い勝手」を大きく損ないかねないスタートアップ項目に、特に重点が置かれるという。
「これらのプログラムのなかには、ユーザーが自ら設定したものも混じっているが、しかしその多くは想定外のもので、悪くするとマルウェアやスパイウェアが入り込んでいる場合さえある」(Aul)
Vistaでは、使用中のPCの動作速度が低下した際に、それを自動的に通知するような機能は含まれないと、Aulは説明する。しかし、自分のシステムのパフォーマンスがどれくらい低下しているかという情報や、低下の原因になっているスタートアップ項目を示すような機能が搭載されるという。
「このパフォーマンス診断機能は、PCの起動にかかる平均時間をチェックするもので、大きな変化を見つけると、さまざまな要因を調べて、その変化の原因を突き止める。その原因が、新しくインストールした特定のアプリケーションである場合もあるし、あるいは複数のスタートアップ項目が原因としてリストアップされてくる場合もあるだろう」(Aul)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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