Microsoftが、次世代のフラグシップOSとなる「Windows Vista」の完全なテストバージョンを初めてリリースし、大きな節目を通過した。
既報の通り、MicrosoftはWindows Vistaのベータ版を一部のテスターに公開した。米国時間27日にリリースされた同ソフトウェアは、現在約1万人のテスターに提供されており、またMicrosoftのMSDNデベロッパープログラムや、企業の技術系社員向けとなるTechnetプログラムのメンバー約50万人にもまもなく提供される。
Microsoftは先週、8月3日までにテストバージョンを投入すると述べていた。同社はまた、「Longhorn」(開発コード名)と呼ばれていた同OSが、Windows Vistaという名前になったことも同時に発表していた。Vistaの一般向け発売は来年に予定されている。
Microsoftは今回、先の開発者向けプレビュー版よりも完成度の高いものを用意してきたが、同社はBeta 1が一般ユーザーを対象にしたものでない点を強調している。
「技術に相当精通していない限り、Beta 1は非常に興味深いものとは言えないと思う」とWindows製品責任者のJim Allchinは、インタビューのなかで語った。「このベータは実のところ技術マニア向けでさえない。このベータは実装段階にある一部の機能を試してもらうことを目的としたものだ」(Allchin)
同製品には、新しい検索機能、デザインが見直されたスタートメニュー、Internet Explorerブラウザのアップデートなど、Windows Vistaでデビューする見込みの重要な機能がいくつも盛り込まれている。しかし、ノートPC向けの改善された管理機能や、強化された写真/ビデオ処理機能などは、次回以降のテストリリースで登場すると見られている。
また、このテストバージョンには、完全にシャットダウンしなくてもPCの電源を切れるようにMicrosoftが研究を続けている形跡が見られるほか、ネットワークにつながったプロジェクタでプレゼンテーションを行ったり、常に管理者としてログインしなくてもWindowsの設定を変更できるといった新機能も含まれている。
企業による大量のPCの管理や導入を容易にする機能など、目に付きにくい奥深くの部分にも、多くの変更点がある。また、Beta 1には、特定の状況になると起動することの可能な「タスクスケジューラ」も搭載されている。
また、そのインタフェースは必ずしも最終版のデスクトップの姿を示唆するものではないが、Beta 1には同OSの新しいルック&フィールの一部となる「透明」のウインドウやトランジションもいくつか含まれている。
Windows Vistaの完成版は、来年の年末商戦向けに出されるPCへの搭載が間に合うように出荷される予定だ。同社はまだセカンドベータ版の公開時期を定めていないが、Beta 1のマイナーアップデートは9月に開催されるMicrosoftのProfessional Developer Conferenceで公開されることになっている。Microsoftでは、このバージョン以外にも、主要ベータ版の合間に多数の暫定アップデートをリリースしていく可能性が高い。
「われわれは、暫定ビルドをこれまでより幅広く投入する予定だ」(Sullivan)
Microsoftは、新しいWindowsのテストバージョン公開と同時に、同じテスターグループに対してInternet Explorer 7 for Windows XPのベータ版もリリースした。このテストバージョンは、タブブラウザ機能やReally Simple Syndication(RSS)フィードの読み込み機能を搭載している。
Microsoftの主任プロダクトマネジャー、Greg Sullivanによると、MicrosoftではBeta 2まではIE 7のダウンロードバージョンを公開する予定がないという。
「Beta 2のころには本格的なエンドユーザーテストの準備が整うだろう」とSullivanは述べただけで、その投入時期を明らかにしなかった。
Windows XP用のIE 7ベータには、既に明らかになっている詐欺行為や、悪質だと思われるサイトからユーザーを守る新しいフィッシング対策機能も搭載される。このフィッシング対策機能は、Vista用ブラウザの正式版にも搭載されるが、Windows VistaのBeta 1には未搭載だ。
新しいIEは、Microsoftがフィッシングサイトであるとの報告を受けているサイトに関しては、そのまま表示する代わりに、警告画面を表示する。そして、リンク先がフィッシング詐欺を行うサイトであると思われるため、「このウェブサイトには行かないほうが良い」とのメッセージを表示する。ダイアログボックスにウェブページを閉じるよう指示が出るものの、ユーザーは自分の判断でそのままページを表示させることもできる。
フィッシングサイトとしては知られていないものの、その疑いがあると思われるところについては、IEはそれを警告する「疑いあり("suspicious")」とのラベルがつけられ、それを伝える黄色いボックスが右上の隅、ウェブアドレスの付近に表示される。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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