何年も前から論争を繰り広げてきたハリウッドの映画会社各社が、従来の映写機に替わるハイテクデジタル投影システムの技術標準で合意に至った。
だが、実際の普及には時間がかかるようだ。
主要スタジオ各社は米国時間27日、映画館や技術企業の関係者とともにビバリーヒルズで記者会見を開き、この標準に関する技術的な詰めの作業が終わったことを発表した。核となるビデオ仕様は既に昨年完成していたが、今回は重要なコンテンツ保護の方も完成に至った。
これで、次はビジネス面の検討とテストが始まる。新しい機器の設置に伴う費用の負担に関しては、映画館と財政支援機関との間で交渉が進められている。また、機器の本格的な市場テストも始める必要がある。
Universal Picturesの技術担当シニアバイスプレジデント、Jerry Pierceは、「間違った方法では進めたくない。ベータシステムを現場に大量投入し、それを後から回収するというようなことはしたくない。すべてのシステムが連携することを証明しながら、来年以降、時間をかけて導入していく」と語っている。
しかし、27日に発表された標準はいずれ映画鑑賞分野におけるカラー化以来最大の変化となるだろう。
これに関連する技術は、「Shrek」や最新の「Star Wars」シリーズで利用されたデジタル製作システムではなく、むしろデジタルフォーマットでの映画配給を目指すものだ。この技術により、映画会社側は作品をフィルムにコピーして配送するのではなく、衛星もしくは高速光ネットワークで映画館に伝送できるようになる。
現在、映画会社ではフィルム1本を用意するのに1000ドル以上支払っているのが普通だが、それをデジタルコピーで代用すればコストは数百ドル近辺まで下がり、長期的なコスト削減につながる。
また、次の段階ではデジタルフォーマット移行に向けた映画館オーナーの資金繰りを支援する方法を模索しなくてはならない。彼らは、デジタルフォーマットは主に映画会社の方に財政的なメリットがあると主張している。技術ベンダー各社によると、機器の価格は1画面あたり約7万5000ドルになるが、ただし価格は徐々に下がっていくという。
「デジタル技術の展開に関するビジネスモデルを見つけだすことは、この移行を開始させるための大きな1歩だ」と、全米劇場主協会プレジデントのJohn Fithianは述べている。「この作業が今年末までに完了することを願っている」
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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