スケープゴートか、社会の敵か--米軍ネットワークに侵入した英ハッカーの言い分 - (page 2)

Colin Barker(ZDNet UK)2005年07月22日 12時53分

--地球外生命体の存在に関しては、どんな印象を持ちましたか。楽しいだけで、具体的な収穫はなかったのでしょうか。

 基本的には、いたって退屈な作業でした。大量のデータを延々と探っていくわけですからね。忘れてはならないのは、私が侵入したのは公開ウェブサイトではなく、米軍用の非公開のウェブサイトだったということです。ロジスティクスに関するサイトや、援護活動に関するサイトがありました。私はネットワークの管理者権限を手に入れるとすぐに、キーワードをもとにファイル検索コマンドを実行しました。たまにファイルがヒットすると、わくわくしました。胸が高鳴りました。私はこの作業を「調査」と呼びましたが、適切な表現ではないかもしれません。

--いるべきでない場所にいるという感覚が、楽しかったのでしょうか。

 違法行為をしているというスリルは確かにありましたが、それも最初のうちだけでした。新しい事実を発見したり、学んだりしていくうちに、私はUFOの問題を真剣に考えるようになり、秘密裏に開発されている技術の存在にも、関心を持つようになりました。反重力技術がすでに完成していることは間違いありません。量子物理学のメカニズムからいうと、反重力とは、真空からエネルギーを自由に引き出すことです。この技術は石油をめぐる争いに終止符を打ち、飢餓を緩和し、灌漑を促進するものとなるでしょう。これはフリーエネルギーであり、非常に重大な発見です。

--米国はすでに反重力装置を完成させているというのですか。

 そうです。2年ほど前、米国のBoeing Aerospace社が反重力研究に5000万ドルを投資することを発表しました。私はなぜ今、そのような発表をするのかと思いました。一般には知られていないだけで、米国はすでにそのような装置を完成させているのです。事実を追求されたときには、NASA、軍部、そして産業界の上層部にいる一部の反乱分子がやったことだと弁明するつもりなのでしょう。

--あなたはそのような情報をどこで得ているのですか。反重力装置に関する情報は公開されているのですか。

 公開されているものもあれば、そうでないものもあります。たとえば、「Disclosure Project」というものがあります。これはワシントンのロビイストグループですが、その中心人物である軍医のSteven Greerは、民間航空会社の管制官からNATOの元総司令官まで、さまざまな関係者から300もの宣誓供述書を集めました。その内容は「UFOは存在し、軍の一部はそのことを知っている。政府は浸透効果を利用して、この技術をあらゆる場所に普及させようとしている」というものでした。

--米国に身柄を引き渡される可能性については、どのように感じていますか。

 最初に逮捕されたとき(2002年)と比べればマシですが、状況はよく似ています。ちょうど、インターネット関連の仕事--具体的には、コンピュータゲームの試験の仕事をしないかと誘われていたのですが、保釈の条件(インターネットに接続されたコンピュータを使用してはならない)のせいで、この話はまとまりませんでした。大家には部屋を出て行けといわれています。マスコミや警察の目がうるさいからでしょう。部屋を失い、仕事を失った--2002年に逆戻りしたような気分です。それでも、今回は何とか、ガールフレンドは失わずに済みましたが。

 最初の数日間はかなり落ち込みましたね。でも、Boris Johnson(保守派国会議員)と話をしたおかげで、だいぶ元気になりました。彼はEnron Three(Enronの金融スキャンダルに関与した容疑で、米国から身柄の引き渡しを求められている3人の英国人銀行家)と共に、2003年引き渡し法に反対する早朝動議を提出しました。いや、Enron Threeではなく、彼らの望み通り、NatWest Threeと呼ぶべきかもしれません。いずれにしても、今は彼らと一緒に、司法審査と法の改正を要求しているところです。

--英国政府はどう考えているのでしょうか。

 私は弁護士に、英国の検察はなぜ、私の事件を英国警察から米国に委ねたのかと尋ねました。この弁護士が上層部の人間に聞いたところでは、それは「上」で決まったことだそうです。上というのは、おそらく内務省のことでしょう。

--それはよいことなのですか。

 いいえ。すでに結果は決まっているのかもしれません。しかし、ひとりではないという事実には励まされます。この早朝動議には70人近い国会議員が署名しています。

--ハッカーコミュニティからの反応や支援はありましたか。

 そのようなコミュニティが実在するかどうかはともかく、私自身は関与したことはありません。確かに、2002年に逮捕されたときは、何人かが声をかけてくれました。しかし、彼らはハッカーというより、ハッキング経験を持つ専門家です。頭脳明晰で、豊富な知識を持ち、法に詳しい人もいれば、法医学に関するコンピューティング技術に詳しい人もいます。彼らにはとても助けられています。事実、私の支援サイト「Free Gary」は、このような人々が立ち上げてくれたものです。

--(インターネットに接続されたコンピュータを使用してはならないという)保釈の条件がありますから、あなたが直接ウェブサイトを見ることはできませんね。

 そうです。Eメールを読むときも、いちいち印刷してもらわなければなりません。私は最初に逮捕されてからの3年間、インターネットを自由に使うことができたにも関わらず、自分のインターネットアカウントすら持っていませんでした。今になって、このような条件を課すのはバカげていると思います。

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