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放送局が乗り出す番組ネット配信事業のインパクト - (page 2)

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放送がオンラインに動く背景

 これまで、テレビ番組などのコンテンツがネットで配信されなかった一番の理由として挙げられるのは、その複雑な著作権処理の困難さであった。しかし、マルチメディア振興センターが取りまとめたJ/Meta3.0によって著作権者と配信事業者間での情報共有が可能になり、加えて著作権関係団体と利用者団体協議会との間で暫定料額が設定されたことで(日本経済団体連合会のPDF資料)、ネットワークを用いた配信に対する対価が確定した。このため、ネットによる番組配信の可能性が大きく前進することになったのだ。

 本来、オンライン送信に関する項目をあらかじめ組み込んだ契約で番組コンテンツを制作しておけば、少なくともその分に関しての配信は難しくなかったはずだ。しかし、いかんせんこれまでタイムという枠でスポンサーから広告料金を得て番組制作を行い、その著作権を放送局が独占するという日本特有の民放型モデルが一般的であったため、あえてネットワーク向きのコンテンツを制作しようとする企業が少なかったといわれている。

 しかし、昨年から、米国などでIPTV(インターネットを用いた放送サービス)普及の兆しが見え、日本ほどにブロードバンドが普及していない先進国であっても「放送と通信の融合」の勢いが急速に強まってきたため、ブロードバンドや携帯電話で先行する日本のメディアとしては何らかのアクションを求められたということがある。

テレビではないことを明記すべき

 条件は揃った。しかし、その事業としての可能性については、積極的に通信事業者やケーブル事業がIPTVの事業化に取り組む米国ですら依然として不明だ。だが、放送事業者ではなく、USENのGyaoのようなサービスも2カ月で100万登録を集めており、期待は大きい。

 ただし、はたしてそれは「放送」と呼べるのか? もし、IPTVがスカイパーフェクト・コミュニケーションズ系列のオプティキャストのように通信を利用したケーブルテレビでもなく、オンデマンドのアーカイブ・アクセス・サービスであるとしたら、それはテレビと呼ばないほうが視聴者の期待に背かないのではないか。

 いずれにしても、たとえ過去の番組であってもネット上でオンデマンド配信を開始するということは、広告費を用いて番組を制作して放映するというこれまでのモデルとのカニバリズムを引き起こす。これは、パンドラの箱を開いたことに他ならない。すでに視聴率の低下は明らかになり、今後顕在化するであろうPVRのCMスキップの影響などを考慮すれば、これまで通りの事業モデルだけでテレビ局が成立し続けることはないだろう。これらの変化を補填するだけの事業の可能性を番組のネット配信が持つかどうか。今後の動向に期待しよう。

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