市場観測筋は、SAPが間違いなくホスティング分野に力を入れるようになると見ている。SAPはこれまで、中小企業(SMB)と契約を結ぶためいっそうの努力をすると再三公言してきたが、SMB市場はまさに、Salesforceが大半の契約を獲得した市場なのだ。
Salesforceがユーザー数を伸ばし、競合企業の顧客の一部をも魅了していることを考えると、SAPが今後より競争的な態度を明確にするのは確実だと、SalesforceのCEOであるMarc Benioffも指摘している。
「Salesforceは2004年、10万人を超える利用者を新たに得た。彼らはなぜわれわれの顧客ではないのだろうと、SAPは首をひねっているに違いない。だが、SFA(Sales Force Automation)やCRMを満足して使用しているユーザーにはお目にかかったことがないというのが真実だ。当社にはすぐれた技術があり、それが成功を導いたと信じている」(Benioff)
SAPは、4月に欧州で開催されたユーザーカンファレンスで、同社いわく「スリムな」SFAアプリケーションのデモを行ったが、これにより、同社がCRMホスティングに乗り出すのではという憶測がいっそう広まった。同製品は、Salesforceが提供するオンラインアプリケーションに酷似するものだった。
オンデマンドアプリケーションは、当該ソフトウェアのデータおよびプログラムを保守するベンダーによって、ユーザーが利用する建物から離れた場所で運用されるソフトウェアだ。従来のエンタープライズソフトウェアと比べて多数の利点があると、これを支持する人々は口をそろえている。迅速に導入できる、全般的なコストが低い、操作性の向上が図られているなどが、そうした利点であるという。
また、Salesforceのようなホストアプリケーション企業は、顧客が利用する「サービスとしてのソフトウェア」の料金を、レンタル料のように月ごとに徴収する制度を設けている。通常のように、ソフトウェアライセンス料を事前に支払わせたり、数カ月の契約期間を設定したりはしていない。
こうしたアプローチは、多くの顧客から支持されていることが明らかになっている。5月中旬にSalesforceが発表した内容によれば、第1四半期における同社の売上は前年同期比84%増の6420万ドルだったという。
さらに傑出しているのが、同社が新たに獲得したユーザー数だ。Salesforceは、第1四半期中にその数を4万ユーザー以上増やしているが、これは2004年の同時期と比較して80%増しの数字である。
Salesforceは現在、合計で26万5000を超えるユーザーを抱え、1万5500社以上の企業と契約している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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