これに対し、最高裁判決に勢いづくレコード業界は、PtoP企業には2、3の選択肢しか残されていないとの強気の見方をしている。具体的には、今後もファイル交換を継続して提訴されるか、交換を中止し事業から撤退するか、あるいはSummerのiMeshが行なっているように、音楽業界公認の有料のファイル交換サービスを提供するかのいずれかだ。
6年前に創設され、現在30人の従業員を抱えるiMeshは、米国で事業継続を希望するPtoP企業の草分け的存在となるだろう。
かつてNapster閉鎖後に登場したPtoPネットワークの中でも最も高い人気を博したiMeshは、2003年末にRIAAに提訴された。iMeshの弁護団は最終的に、当時ニューヨークでコンサルタントをしていたSummerに接触し、1980年代初頭に同氏が会長を務めていたRIAAとの和解調停への協力を要請した。
何度か打ち合わせを重ねた後で、iMeshが著作権侵害行為を本気で阻止しようとしていることを確信したSummerは、同社を手助けすることに合意した。その結果成立したRIAAとの合意により、iMeshは代わりとなる新たな有料音楽配信サービスを開発するための猶予期間を手に入れた。この期間中、同社のサービスは著作権侵害行為も含め、すべてを現状のまま運営することが認められた。いまでは、この猶予期間が1年近くになろうとしている。
iMeshの新しいサービスには、これまでのファイル交換サービスの特長が一部に残っており、ユーザーのハードディスクから無償で手に入れられる曲もわずかに存在している。しかし、Audible Magicという会社の提供するフィルター機能が搭載され、著作権で保護された作品のほとんどを阻止できる。
この新サービスでは、楽曲を1曲ずつ買うこともできる。また同社はMusicNetの力を借りて、月極の定額制で楽曲聴き放題のサービスも提供する予定だ。YahooやAOLなどでも、このMusicNetの卸売りサービスを利用して、音楽サービスを提供している。明確なサービス開始日はまだ決まっていないが、同社では開始後もいくつかの機能を追加していく予定だ。
「これは複雑な移行作業で、みなが想像するよりもずっと複雑だ。これまでに非常に多くの開発を行ったが、それでもいまだに開発が続いている」(Summer)
かつての大手ファイル交換ネットワークのなかで、いまでもフィルタリング技術を導入し大手コンテンツ企業を満足させようとしているのは、iMeshだけだ。
しかし、違法なファイル交換を阻止するフィルタリング技術を核として、まったく新しいファイル交換サービスを立ち上げ、同時に合法なダウンロードを有料で提供しようとしている企業もいくつか存在する。
Groksterの前社長、Wayne Rossoはまもなく「Mashboxx」という新しいサービスを立ち上げると述べている。同氏はこのために何カ月も世界中を飛び回り、音楽業界の幹部らとの会談を重ねてきたという。最高裁の判決により、この新しい事業はさらに有利になると同氏は自慢する。
RossoのMashboxxは、iMeshと同じく音楽ファイルだけを扱うが、このサービスはSnocapの開発したフィルタリング技術を使う初めてのケースとなる。SnocapはオリジナルのNapsterの生みの親であるShawn Fanningが創設した新会社である。Fanningと同社のエンジニアらは、最高裁の判決により、他のPtoP企業でも同社のフィルタリングツールの採用が進むことになると見ている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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