携帯電話が社会インフラとなるためには、PCの二の舞にならないことが重要だと英Symbianは考えている。
Symbian最高経営責任者(CEO)のナイジェル・クリフォード氏とシンビアン代表取締役社長の久晴彦氏が6月22日に東京都内で会見し、Symbian OSの現状やセキュリティ問題への対応策について紹介した。
Symbianは携帯電話向けに開発されたOSで、国内ではNTTドコモがLinuxと並ぶ推奨OSとして採用している。端末メーカーとしては富士通、三菱電機、Motorola、NokiaがSymbian OSを搭載した端末を国内向けに出荷しており、シャープとソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズもSymbian端末を開発中だ。
Symbian最高経営責任者(CEO)のナイジェル・クリフォード氏 |
クリフォード氏によると、Symbian OSを搭載した端末の出荷台数は年々倍増しており、2005年第1四半期までの世界累計出荷台数は3200万台にのぼるという。今後は第3世代携帯電話の普及に伴ってさらにSymbian端末が増えると見ており、「今は成長の出発点にすぎない」(クリフォード氏)と自信を見せた。
ただし、世界的に携帯電話が共通のOSを搭載するようになれば、ウイルスなどのセキュリティの問題が大きな課題となってくる。今年3月には日本でも携帯電話に感染するウイルス「Cabir」が発見された。
この問題に対して久氏は、「日本向けの端末では、Javaアプリ以外はユーザーが自由にインストールすることができないため、実害はないだろう」と話す。欧州ではユーザーが自由にアプリをインストールして端末をカスタマイズできるため、誤ってウイルスが含まれたプログラムをダウンロードしてしまう危険性は高まる。しかし久氏は、「Symbian端末の場合、未知のアプリに対しては『このアプリをダウンロードしてよいですか?」とユーザーに3回確認するようになっている」と話し、ユーザーが知らないうちにウイルスに感染する恐れはないとした。
さらにSymbianでは、携帯電話向けのアプリケーションの認証制度「Symbian Signed」を提供している。これは開発されたアプリが業界で定めた規定に沿って開発されたものであるかどうかを認証するもので、認証をうけたアプリはSymbianのロゴを使って販売できるようになる。つまり、ユーザーはSymbian Signedの認証を受けたアプリであれば、安心して利用できるようになるというものだ。この制度はNokia、T-Mobile、Orangeなどのほか、NTTドコモも賛同している。
「PCと同じよう(にセキュリティへの不安があるよう)では社会インフラにはなり得ない」と久氏は話しており、今後もセキュリティ機能の強化を図る考えを示した。
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